【学パロ】蜘蛛と鶏の青春事情･第四章【仮面ライダー】 (ページ25)

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残り一周の間に勝負を付けてやる。零子を一日だって、一秒だって渡してなるものか。

「しかし、一位と二位からも目が離せない！花家選手と音無選手！男女の差はありながらも音無選手はほぼ花家選手と並んでいます！花家選手もコンパスの長さを活かし、逃げる逃げる！更に、後からは四位まで上り詰めた九条選手が物凄いスピードで三位の一年A組の背中を追いかける！対して一年生も必死に順位をキープしようと足を動かしています！」

絶対に、絶対三位に……！三位の背中がどんどん近づいてくる。あっちも本気で逃げているせいか、バテはじめているのだろう。一方で零子と花家の方は全くバテていないどころか、ボルテージが上がりどんどん速くなっている。どんだけ負けず嫌いなんだよあいつら……。だが、自分も負けない。後半周で、絶対に三位を抜かす！

「じわりじわりと、九条選手が三位をとの差を縮めていけます！最後のコーナーだ！一位は花家選手か音無選手か！九条選手は七位から三位まで上り詰めることができるのか！応援の声も盛り上がっている！ゴールに近づいてくる一位と二位！最初にバトンが渡るのは一体！？」

コースの内側に着く花家、外側で必死に花家に食らいつく零子。次の走者は目前だ。自分も三位に……！！がむしゃらに腕を振り、歯を食いしばる。そのときだった。

「最初にバトンが渡ったのは僅差で三年C組！次に二年C組でした！一位と二位の順位変動はありませんでしたが、かなり僅差です。ここから巻き返すチャンスも充分あります！」

　零子が負けた……？となると、もし自分が三位になれなければ、自分は花家に零子を期間限定とはいえ渡さなくてはならない。いや、そんな賭けなど聞く義理は無いし、どうにでもなることだが。それでも、それでも……！

「負けるかよーーーーッ！！」

文句無しにぎゃふんと言わせてやらなければ気が収まらない。自分は目前に迫った三位の背中に手を伸ばした。掴むわけではないけれど、それぐらいの気概で行かなくては。

「貴利矢ーー！抜けェーー！」

加えて零子からの声援。これは負ける理由が無い。恐らく零子には、自分に三位になって欲しいという純粋な応援は殆ど心に無いだろう。花家の提案した賭けに自分が負けたから、自分に勝ってもらい花家の提案を取り消して欲しい。きっとそんな想いが占めている筈だ。季実子ちゃんほどではないが、零子も損得で動く人間である。