【学パロ】蜘蛛と鶏の青春事情･第四章【仮面ライダー】 (ページ19)

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がむしゃらに相手に向かって打ち返しながら、二人はゆっくりではあるものの、一度も風船を落とすことなくゴールへ向かって行く。が、その時だ。グラウンドの真ん中を突風が駆け抜け、音無らの風船が明後日の方向へと舞う。

「あっ、くそ！いきなり風強くなんなよ！」

音無の苛立つ声に反して風は更に吹き荒れ、風船はぐるぐると舞い続ける。大きくリードをしていたC組だったが、ここで宝生と西城が音無らを抜かした。風が吹いているという条件は同じだと言うのに、二人の風船だけは一直線に相手のラケットへと吸い込まれるように向かって行く。何故かと思ったが、物理教師である俺には分かった。風の向きや強さに合わせて、あの二人は打つ強さや角度、方向を変えているのだ。更に、ゆっくりと受け止め打つタイミングも合わせている為、足は遅いものの確実にゴールに近づいていく。運動神経では負けても、頭の良さではこちらの方が上だったということだ。風船バドミントンはA組が一位で通過し、次の障害物はキャタピラである。

「せーの！」

一足先にスタートしたA組だったが、ここで二人に最大のピンチが襲いかかる。問題は二人の身長体格差だった。宝生はクラスでもかなり背が高い方なのだが、対して西城はクラスで一番背が低い。故に四つん這いで進むこの競技では、宝生が一歩分進むのに西城は二、三歩かかってしまうのだ。故にキャタピラ内では宝生は西城に合わせて進まねば、キャタピラがあらぬ方向に曲がってしまったりと、かなりのハンデになるのである。西城も飼い主に必死に着いていくチワワの様に足を動かしていたが、やはり身長差がそこまでなく、相性抜群の万丈らに追い抜かされてしまった。

「お先～！チワワはキャンキャン吠えてろ」
「誰がチワワよ！エビフライは大人しく跳ねてなさいよ！」

キャンキャンと万丈の煽りに反抗する様は、チワワ以外の何者でもないと思うが……。まぁ、西城がチワワであろうとそうでなかろうとどちらでもいいけれど。

「追い抜かれ、必死にC組の後を追うA組！二組の間では延々と罵詈雑言が飛び交っておりますが、大丈夫なのでしょうか！？」

そしてC組は次の障害物に辿り着いた。車輪を押し、最初の直線を二人揃って全速力で走って行く。その数秒後に到着した西城達も、繋がった車輪を転がしてカラーコーンゾーンに差し掛かる。またもや運動神経の良いC組のリードかと思われたが、このジグザグに進むコースでは、A組の方が有利だった。