【マイクラ】スケさんに懐かれた【長編】 (ページ2)

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そりゃあ確かに、テスト勉強面倒だから学校爆発しないかなーとか。お母さん口うるさいから一人暮らししたいなーとか。友達に恥ずかしい秘密がバレたから誰もいない所に行きたいなーとか。そういった欲求は少なからずあった。

でも、それって人間誰しもが思うことだろうし、実際にこの現実世界から突然おさらばするなんて考えたことも無かったし。願ったことも本心では無かった。それなのに。

どうしてわたしはこんな見覚えの無い草原に立ち竦んでいるのだろう。

更に言えば、ここはただの草原ではない。木、地面の境目、視界に映る崖、岩、動物。

全てがSquare.

四角形。

そう、目に映るもの全てが四角なのである。しかもこの四角の世界にわたしは見覚えがあった。何故なら今の今まで、わたしの記憶にある限りここで目が覚める前の最後の記憶が。

Minecraftだったからである。

グラフィックといいなんといい、これはMinecraftの世界に違いない。つまり。わたしは今きっと夢を見ているのだろう。ゲームをしながら眠ってしまうとは、起きたらタブレットの充電切れてるかもしれないな。

しかし参った。

早く目覚めないと明日から中間テストだというのに。勉強の合間にMinecraftをやっていたのが悪いんだろう。まさかこんなに分かりやすい夢を見てしまうとは。頬を抓り、目覚めろと念じる。だが、頬がヒリヒリと痛むだけで目覚めることは無かった。そこまでしてわたしはふと思う。

なぜ夢の中なのに痛みを感じるのだろうかと。

あー、えっとアレ。明晰夢、だっけ？夢を夢と認識して自由な行動ができるという。脳のバグか何かで見ることの出来るらしい夢だったと思うが。確かあれってかなり訓練しないとここまでハッキリと行動出来ないんじゃなかっただろうか。

それなのにわたしは初めてとは思えないほど自由に動けている。四肢を動かしたり深呼吸しても、その感覚はきちんと脳に伝わってきた。世界は現実味無いのに、どうして自身の体にはここまで現実味があるのだろう。それに、四角い世界の癖にわたしの体は元の人間のまま曲線を描いているし。

考え込んでいると、わたしの後ろで豚が鳴いた。

「ねぇ、夢から覚める方法って知らない？」

振り向き豚に話しかけても、やはり豚は何も答えてくれやしない。ブヒ、と鳴いただけで何処かへ走り去ってしまった。取り敢えず、立ち止まっていても仕方がない。

夢なら夢で、この状況を精一杯楽しむことにしよう。