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モンスターハウスやら仕掛けやら出しておいてただの行き止まりなんて、悔しい。
せめて、何かあれば良いが、やはり何もないようで。
「よし！」
わたしは意気込んだが、結果、その意気込みなどまったく必要のない選択をした。
「戻ろう！」
―――――
動く壁の隙間をすり抜けて、何やら通路に出た。
なんの変哲もない道だが、先へ真っ直ぐ伸びる通路と、その両側には一つずつ向かい合った部屋があり、どうやらこの八方塞がりを打開できそうな場所となっている。
「これはもしや、この道が正解か？」
「ふむ、部屋が二つとその先に怪しげな扉」
「こっちの部屋は？」
虚しいが、独り言を言いながら探索を進める。
まずは右側の部屋をそっと覗いた。
「うむ、空っぽの宝箱だ」
八畳程の部屋に、宝箱が二つ、開けっぱなしで鎮座している。
中は当然空だろう。
壁に背をつけたまま、ソロリと部屋から出る。
俺はこの時、ある可能性を感じていたのだ。
――もしや、ここに誰かが？
宝箱を開けた誰かが、向かいの部屋にいるのではないか？
そして、体が部屋から完全に出たその時だった。
「あああああああ！？」
何か大きく黒い物体が向かいの部屋から大声をあげながら飛んできて、俺の思考は停止した。
罠か？
敵か？
考える暇もなく、俺はその物体と激突し、宝箱の部屋までふっ飛ばされる。
強い衝撃に目眩を感じながら起き上がれば、俺の胸元には見慣れた顔があった。
「Aおま、何やって……」
言いかけたその時、Aが呻きながら目を開く。
そして、うつぶせのまま顔を上げ、俺の顔を見ると、少し安堵の表情を浮かべた。
「なんだ、メレブか」
「まぁ、そうなんだけどね。だから、何してんのお前」
彼女の額を指でピンと弾いてやれば、悪態を付きながらも、目を背け、答える。
「いや……」
「というか、どいてくれ」
「あぁ、すまん」
少し、嬉しかったけれど。
それよりも状況の把握が先だ。
Aが退き、俺は体を起こした。
そしてなんとなしにAを見やれば、そこには予想外の光景が待ち受けていた。
「えっ？」
俺の本質は、馬鹿だ。だから、その光景を理解するのに、十数秒もかかってしまった。
だって、あまりにも不釣り合いなものが俺の目に入ってきたもんだから。
俺の脳も今までの経験を整理する時間を欲していたわけで。
「なんだ」
彼女は、不機嫌そうにジトリとこちらを睨む。いや、俺悪くないと思う。
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作者名：うれい | 作成日時：2017年12月28日 5時
