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「……防御力でも上がるというのか。こんなもので？フン、バカらしい。まぁいい、次の部屋だ」
―――――
「ヤバイヤバイヤバイ、魔物多すぎでしょ！」
ヨシヒコが押したスイッチにより、わたし達の来た道から、大量の魔物が攻めてきた。
恐らく、あれはモンスターハウスを作るスイッチだったのだろう。
「ヨシヒコのバカ！」
「すまない。ムラサキは私が死んだ時に生き返らせてくれればいい。だから、私の側から離れないでくれ」
「えっ、……う、うん」
わたしはこんな状況で何をときめいているんだ。
確かにこんな戦いの中で、わたしはヨシヒコに惚れたのだから、今更戦いの最中に惚れ直したって、無理もないのだけど。
ヨシヒコと背を合わせ、魔物と対峙する。
幸いそんなに強い敵ではないから、わたしでも少しは倒せるけど、何せ数が多い。
「ムラサキ、あっちに扉が見える。恐らくあれが出口だろう。モンスターハウスを作動させないと出口が出来ないという仕掛けみたいだ」
「じゃあ、結果オーライってこと？」
「ここで死ななければ……」
そう言って不敵に笑うヨシヒコは、なんだかとても珍しく思える。
そして、勢いよく魔物に斬りかかり、向こう側へ見える出口へと、徐々に、確かに進んで行った。
―――――
「あーーー、もう、イライラする！！」
「焦るなメレブ、少しずつだが、確実に進んでいるんだ」
迷宮に挑んでから、どれくらい経っただろうか。
日光も何も射し込まないこの場所では、時間の感覚が無くなる。
ダンジョーが目印を付けてくれたおかげで、迷ってはいないが、やはり迷路はしらみつぶし。
その作業にはもう疲れはてていた。
「むぅ」
ダンジョーが、何かに気づいたのか声を発した。
「どうした、ダンジョー？」
「おかしい。最後に残った道だったというのに、行き止まりだ」
「……もしや、この迷宮はダミーだったのかもしれんな」
「何か仕掛けがあるかもしれん。探すぞ」
ダンジョーが辺りを探索する間、俺は違う道を探す。
目印の付いていない所が有れば、そこが正解の道かもしれないし。
一つ道を戻り、見渡す。
「まぁ、そんな簡単に見つかるとは思わんが……」
歩き回って棒になりそうな足を休ませようと、壁にもたれる。
その時。
突然ガタッと音が聞こえたかと思うと、もたれていた壁が動きだし、必然的に俺は後退した。
「隙間ができている……」
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作者名：うれい | 作成日時：2017年12月28日 5時
