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「やだ、また疑われてる……」
ギャースカ言い合いをしていると、その声で起きたらしいAが、寝ぼけ眼をこすり、俺達に文句を言う。
「おい、うるさいぞ二人とも……」
「……A。あんたなんで」
「うぉ、何故わたしはメレブの布団に！？そんなに寝相が悪かったか！」
慌てて彼女は俺の布団から飛び退いた。
この反応はやはり、昨日寝惚けていたということだろう。
「まぁ、あながち間違ってはいない」
「A。このバカが言うには、Aがこっちに入ってきたってことだけど、ほんと？」
「そんな覚えはない」
キッパリと言い切る彼女に、額に汗する。
「そりゃ寝ぼけてたから覚えてないでしょーよ」
「そうか、寝ぼけていたか。なら仕方ない」
「えっ、Aさんがメレブさんの布団に入ってたんですか？」
「怪しいな」
「君たちはいつ起きた？」
突然のヨシヒコとダンジョーの言葉に、俺はツッコミが追い付かなかった。
―――――
なんやかんや騒ぎつつも、俺達は宿屋を出て村の長を訪ねた。
この辺は特に面白いこともないので、割愛する。
そして俺達は、村を出て北東を目指し歩いていた。
「村長に聞いた話では、この森の奥に、英雄の塔というものがあるらしい」
「そこにいた盗賊に、伝説の武器を奪われたとか……」
「それにしても、こんな森の中に、塔なんかがあるのでしょうか」
「嘘をつく必要はないでしょ」
周りを見渡すが、何処を見ても木、木、木。
たまに小鳥や小動物が見える程度だ。
うむ。
あちらには赤色の鳥が……。
赤色の、鳥？
「あ、あったっぽい」
「本当かメレブ！」
「ほら、あそこの奥。古いれんがみたいなのあんじゃん」
木々や葉の間。
そこに見える赤というか、えび茶色の物体。
それこそが、煉瓦である。
「珍しくでかしたホクロ！」
「おい」
ムラサキの軽口に一言言ってやろうと口を開くも、皆どんどん先へと進んで行く。
俺は不完全燃焼のその言葉を飲み込み、彼らに着いて行く。
「お〜……」
どしりと佇む大きな塔を前に、俺達は思わず感嘆の声をあげた。
「こりゃまた立派だな」
「高い……」
「いかにもじゃん。これは伝説の武器、期待してもいいんじゃない？」
「しかしこの塔。罠がかなりあるらしい。なんでも、生きて帰ってきたものはいないとか」
――英雄の塔。
千何年も前に、この世界を救った英雄を奉るために作られたと言われる塔だ。
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作者名：うれい | 作成日時：2017年12月28日 5時
