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もし彼女が無意識に俺の近くを選んでくれているのだとしたら、やはりムラサキの言うとおり、俺を一番信頼してくれているということなのかもしれない。
そう考えると、不思議と口角が上がった。
ムラサキに気持ち悪がられてしまったが。
「時間を無駄にしない為にも、早速店を回りましょう」
「そうだね、じゃあ効率的に回るために分かれよっか」
と、ムラサキはダンジョーに目配せした。
朝のうちにダンジョーに話したのだろう。
するとダンジョーは頷いて、すかさずヨシヒコの横に付いた。
「なら俺は、ヨシヒコと行かせてもらうぞ。武器を重点的に見たいからな」
ナイスだダンジョー、なんの違和感も無い。
俺もこの流れに続かなければ。
「そうですね、わかりました」
「ではわたしは一人で防具を……」
そそくさと輪から離れようとする彼女の二の腕をガシリと掴み。
「あーっと防具なら俺も見たいから同行しよう」
声も震え、かなり不自然ではあったが、とりあえずノルマは達成だ。
おいムラサキ、声を殺して笑うんじゃない。
彼女は笑い声を押し殺し、声を震わせながら手を上げた。
「あたしは魔術装飾品を見たいから一人で行くわ。じゃ、夕飯には宿に戻ろうね」
「あぁ」
ヨシヒコは頷き、武器屋の並ぶ商店街の方へと歩みを進める。
するとダンジョーがこちらへと歩み寄り、ボソリと囁いた。
「メレブ、しっかりやれよ」
「やっぱりムラサキに言われたのか」
「何かあるとは思ってたがな。今度、女の口説き方を徹底的にレクチャーしてやろう」
「あのド天然に通じればいいけどな」
ニヤニヤ笑うダンジョーと、二人で頷き合う。
なんだかんだ言っても、ダンジョーはこういう面でも頼りになる。
彼の助けを得られたのは大きいかもしれない。
ーーーーー
死にたい。
唐突なジサツ願望が俺を襲う。
いや、唐突ではない。
かなりさっきから抱いていた感情である。
Aに付いていくだけの自身が、情けないと感じるのだ。
「や、やはり旅慣れてるだけあるな……付いて行くのでやっとだ」
「何を言う。こんなもの、序の口だ」
「そ、そうなのか？」
ようやく立ち止まり、メモに目を通す彼女は、汗一つかいていないようだ。
おいおい、この街かなり南の街だぞ……。
彼女はメモを畳み懐に入れると、フッと息をついて口を開く。
「さて、予定通りだな。ここらで昼食でも取るか」
「そうだな。ずっと歩き通しで疲れたし、とにかく何処かに座りたい」
続く
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作者名：うれい | 作成日時：2017年12月28日 5時
