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「確かにそうだな。そういえばお前女だった」
「死ねホクロ」
おっと、迂闊なことを口走ってしまった。
「それに、今のところAの好感度が一番上がってんのはお前だし」
「え、う、嘘だろ?」
あいつにそもそも好感度なんてものがあるかどうかさえ疑わしいものだが……。それほど、Aは他人に興味を示さない。
「嘘じゃねーよ。トルッチ城の時も、お前にキスしたっていうじゃん」
「でもあれは誰でも良かったって」
「嫌われてはないっつーことだろ。しかもササラではお前に抱きついて満足そうに寝てた」
「アレも俺がたまたま隣で、アイツが寒がってこっちに寝ぼけながら」
「無意識にお前に安心感感じてんだろ。Aの隣にはお前より体温高くて抱き着きやすいダンジョーが寝てたのに」
それらを掻い摘んで繋ぎ合わせれば、つまり。俺は……。
「……俺、喜んでいいの?」
「まだ早いけどね。だってAの頭には恋愛のれの字もないし。ようやくお前に一番仲間意識を感じだした程度のもんだろ。レベルで言うと五位」
「低すぎゃね?……で、俺は具体的にどうしたらいいんだ?」
「そりゃあ、恋愛の基本は……」
フフン、と鼻で笑ったあと、彼女は自信満々に仁王立ちする。
「デート」
で え と。
俺は、再度頭を抱えた。
「無理すぎる……絶対に倒せない……はぐれメタルより倒せない…」
「経験値はかなり稼げるけどな」
「俺デートなんかしたことねぇし……」
「別に、ちゃんとしたデートをしろなんて言わねーよ。相手はAだし。だから、明日武器防具を揃える為にバザー回るじゃん?そこで、お前とAが二人きりで回れるようにするわけ」
「上手く行くか……?」
「そこはあたしがちゃんとやるよ。ダンジョーの協力はやむを得ないだろうけどな」
「マジかよ……」
ムラサキはやる気満々のようだし、元々ダンジョーにバレるのも時間の問題……。
上手く行けばAが俺のことを……。
「あたしはお前らを影で見守ってるから、明日は少しでもAの好感度上げろよ」
と、なれば。
「……やるしかないようだな」
俺は立ち上がり。ムラサキと向かい合い、力強く頷きあった。
ーーーーー
翌朝。朝食を終えた俺達は、宿の前で円陣を組むかのように集まった。
そういえば、気がつくと俺の隣にはいつもAがいる。
俺が無意識に彼女の近くを選んでいるという可能性も拭えないといえば拭えないが。
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作者名:うれい | 作成日時:2017年12月28日 5時