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嫌な予感しかしないのだが。
そして、彼女はパンッと手を叩くと、満面の笑みで言った。
「っつーわけで、本人にバラされたくなかったら、あたしに手を貸せ」
有無を言わさぬ笑顔に、額に汗しつつ。
俺は渋々彼女の話を聞くことにした。
「……何すんだよ」
「ま、お前にも関係のある話だからな。お前っつーか、Aだけど」
「Aに関係が……？」
身を乗り出すように、正座し、前のめりに彼女の次の言葉を待つ。
「まぁ、さ。改めて言うのは恥ずいけど。あたしってヨシヒコのこと、その、す、す」
「あぁ、好きなんだよな。知ってる」
食い気味に言うと、彼女は少し眉を顰めた。
恐らく照れ隠しだ。
「……で、あたしも、不本意だけどお前みたいに相手のことを目で追っちゃったりするんだよね」
「不本意は余計だけどな」
「で、最近ヨシヒコのこと見てたら、気づいちゃったっていうか……」
少し黙った後、ムラサキは小さく口を開いた。
「ヨシヒコ、最近Aのことをずっと見てんだよ」
その言葉の衝撃に、俺は数秒理解が追いつかず。
漸く意味を把握した時には、驚愕の声しか出なかった。
「…………………はぁ！？ヨシヒコが！？Aを！？」
まさか、そんな。
しかし、ムラサキはゆっくりと頷き。
「うん、確実にな」
と、一言だけ言い放つ。
「え、ちょっ、結構ショックなんだけど。ヨシヒコじゃ勝ち目ねぇし……」
「あのさぁ、一番ショックなのはあたしなんだけど？Aは気づいてもねぇし」
「ま、まぁ、そうだよな……」
好きな相手が自分の友人のことを好きとか泥沼すぎるだろう……。
というかこのパーティー、色づきすぎだ。
「で。こっからがお前に頼みたいことなんだけどさ」
ムラサキは。元々大きな目をもっと見開いて。
「Aとくっついてくんね？サッサと」
そう宣った。
俺は、ぽかんと口を開いたまま呆けた後(のち)、我に返り、大声をあげる。
「お前なぁ……それが一番無理っつってんだろ！！」
その答えを予想していたかのように、彼女は落ち着き払っていた。
そして、腕を組み「今まではな」と、ゆっくり言う。
「でもさ、よく考えてみ。今まではお前が一人で一人ずもうしてただけじゃん？でも、今からはあたしがサポートする。女にしか分からないことも、女のあたしはわかるし、Aのプライベートなことまで知れる可能性が一番高いのもあたしだろ」
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作者名：うれい | 作成日時：2017年12月28日 5時
