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そう言いながら、仏は何やら分厚い本をペラペラとめくる。
「えーと、次は海辺の村ハザンだねぇ」
「海辺の村か……。もしかしたら、船も手に入るやもしれんな」
メレブの言葉に仏は目を光らせる。
「そう！次は船イベントなんだよ！到達レベル32か……まぁまぁいけそうだな、うん」
「なんか今回の仏、やたらと詳しくない？怪しい」
「あ、怪しいってなんだよムラサキー！！公式の攻略本だぞ？高かったんだから……」
奴の意味不明な言葉に、わたし達ははてなを浮かべるしかない。
が、仏が確かな情報だと言うからには、わたし達はそれを信じてハザンへ向かう他無いのだろう。
いつものように低レベルな捨て台詞を残して消えた仏を見送り、わたし達は海のある方向へと向かうのだった。
――――
ハザンは遠いらしい。
町の人達から聞いた話だ。
確かに、野宿をしながら丸二日経っているのに海の気配も感じないのだから。
ちなみに町の人、というのは、俺達がハザンを目指して腐った死体のように歩いている途中に立ちよった町の住人である。
住人とはいってもここ、商人の町ペイダンは、
旅の商人達がここで商売するためだけの商売の聖地なので、ここで生まれここで死ぬ等といった類の者はほとんどいない。
他の村で買い付けたものを売る商人が皆こぞって此所に来ているだけなのだから。
まぁ、所謂、町一つ使ったバザー会場みたいなものだ。
しかし、商人の町だけあって、豊富な武器防具、道具が揃えられているし、それを目的にやってきたような旅人も多い。
俺達一行は、とりあえずここで装備を整えてからまた旅立とうと、数日分宿を取っておいた。
金の方は、丸二日戦い、歩いた分だけある。
今回は男女別れて部屋を取ることにした。
「いやぁ、町をざっと一周見てみましたが、とても一日では周りきれませんね。数日滞在するのは正解かもしれません」
息をきらしながら帰ってきたヨシヒコは、地べたに荷物を降ろしてドッと座り込む。
作戦会議ということで、男部屋に皆集まっていたのだ。
「じゃあ明日はお店調査だね！」
ムラサキはウキウキと目を輝かせながら言った。
女子は本当にショッピングとか、そういったものが好きである。
一方で、Aは眠たそうに頬杖をついてうつ伏せに寝転がっていた。
おい、それはヨシヒコの布団だぞ。どうせ寝るなら俺の布団で寝なさい。
「眠そうですね、A。しかし、部屋に帰らないと……」
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作者名：うれい | 作成日時：2017年12月28日 5時
