・ ページ13
俺はAの目を塞ぎ、ダンジョーは扉を閉め、ヨシヒコはムラサキの目をマントで覆い隠す。
しかしムラサキは、苦笑いを浮かべながら言う。
「あー、ごめん、ヨシヒコ。大丈夫、チラッと見えちゃったから……」
「変態だ、変態がいた……」
ムラサキなら、状況整理出来るはずなのであまり心配は無い。
しかし、Aは違う。
目に入った光景が整理出来ないのか、ただただ目を丸くしていた。
「メ、メレブ？何があったんだ？」
戸惑う彼女を余所に、男性陣のみで会話を続ける。
致し方ない。
扉の先に、ブリーフとマントのみの変態が仁王立ちしていたのだから。
「どうする……？」
「どうするも何も、俺達三人だけで戦うしかないでしょうよ」
「では、二人はここに残して、戦いますか？……」
「というか、アイツはなんなんだ……。敵なのか？」
その時、扉の向こう側から大きな笑い声が聞こえてきた。
恐らく、ヤツの笑い声だろう。俺達はそれに耳を傾ける。
「我が名はブリーフ魔人。我、伝説の武器を守る者なり」
「扉閉まったまま続けんな！」
俺のツッコミもどこへやら、ヤツはまだクツクツと笑いを浮かべているらしい。
イラだったダンジョーが扉を強く蹴ると、向こうで「ヒャッ」という情けない声が聞こえた。
「つまり貴様は、伝説の武器を探している俺達の敵なんだな？」
ダンジョーの凄みのある声色に、ブリーフ魔人は震え声で「い、一応……」と答える。
これは、コイツ、弱いんじゃなかろうか？
「こちらには女性陣がいるんです。良かったら何か他に服を身に付けてくれませんか？」
「ふ、ふむ……？良いだろう。心配するな、紳士的な格好でお迎えしよう」
そして、数秒経った後、俺達は女性陣を庇いつつ、再度扉を開けた。
「フハハハハ！どうだ！見違えるだろう？」
女性物のブラジャーを身に付けた変態に、ダンジョーの飛び蹴りが炸裂した。
奴は部屋のど真ん中から端へと吹っ飛び、痛そうな音を立てて地に伏せる。
しかし、数秒も経たずに笑い声をあげながら立ち上がるところを見ると、なかなか侮れない相手のようだ。
そして、奴はゆらゆら、俺とAの元へやって来て、立ち止まる。俺は、Aの目を押さえる手に力を入れ、身構えた。
「くっ……ふふ、中々強者と見た……。しかし、この女の方が強そうだ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うれい | 作成日時：2017年12月28日 5時
