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「なんか今ものっそい殺意が込められた魔法は飛んできたけど、お前が勝手にザラキって言ってただけで、それザラキでも何でもないから」
「それ俺、超恥ずかしいじゃん」
「しかもそれMP全部使うから。後、めっちゃ殺意が無いと使えない」
あまりにも燃費の悪い魔法に、俺達は肩を落とす。
「だがメレブ、仏になぜそんな魔法を使う程の殺意を持ったのだ？」
ダンジョーの言葉に、俺は狼狽えた。
自分でもハッキリとした理由はわからないのだが、言うのが憚られるような恥ずかしい理由であることは間違いない。
しかもそれにはAも関係している。
彼女の方を見やれば、俺に目を向け、小首を傾げた。
「何か用か」とでも言いたげだ。俺は、すぐに目を逸らした。
これは、もう認めた方がいいのだろうか。
いや、まだ駄目だと誰かが俺の頭の中で叫んでいる。
そうだよだって、まだ八話目だぞ。
いや確かに原作ドラマでは八話って言ったら佳境だが……。
いやいやいや、そんなことをいってる場合ではない。
というか、ありえなくね？
ちょっと試しにキスされただけで。
何をそんなに心動かす必要があるのだろうか。
いや、ない。
俺は、この思考を振り切ろうと顔を上げた。
「どうした？様子がおかしいぞ」
そこには、Aの顔があり、俺は瞬時に飛び退く。
近すぎて、またキスされるのかと思った。
でも、今の不思議そうな表情も可愛かったな。うむ。
「い、いや、なんでもない」
「仏の話、聞いていなかっただろう。北へ向かうぞ」
「考える頭もないくせになに考えてたんだか」
「うるさいぞタイラムネ」
「ふっ、おかしな奴だ。急げメレブ、魔王は待ってはくれんぞ」
そう言って振り向き様に笑い、颯爽と進んでいく彼女に。
俺はまた、見惚れてしまった。隣を歩きたい。そうして足を踏み出そうとした、その時。
彼女の顔がフラッシュバックの様に頭の中で再生された。
そして瞬間に、胸が痛み、俺は膝をつく。
「メレブ！」
「だ、大丈夫だ、心臓発作みたいなもんだから」
「それ危なくね？」
これはまずいな。
思っていたよりも重症のようだ。
バクバクと早鐘を打つ心臓を押さえながら、俺は歩きだす。
彼女を追いかけるように。
あとがき
ここまで読んでくださりありがとうございました。
早く完結させたいのに、全く話が動きません。
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作者名：うれい | 作成日時：2017年12月28日 5時
