第10話 ページ10
その日、エルヴィンはどこか浮かれていた。
朝、目を覚ました時からそれは感じている。
Aと仕事を終えたらそのまま食事に行けるような服を選んで着用し、病院に向かった。
仕事を終えて食事に誘うと、Aは着替えると言った。
入院しているAがロクな服を持っていないことは分かっていた。
きっと制服みたいな服しかないだろう。
でもそれでいい。
エストに普段の彼女を見て納得してほしかった。
そしてやはりAは研究室にいる時のような格好で出てくる。
行き先を伝えると「着替えたい」と言ったが、まったくおかしくない格好だと思ったので却下した。
素直に「似合っている」と言ったら「嫌味にしか聞こえない」と言われてしまった。
仕事柄鍛えられた彼女のスタイルは決して悪くないし、着なれたカジュアルなその服は本当に似合っていると思ったのだが、そこは男には一生理解できない女心なのだろう。
しかし集合場所で他のメンバーと合流すると、ハンジにAの格好の事で捕まった。
「ちょっと！流石にあんな恰好で連れてきちゃかわいそうだよ！」
「そうか？Aらしくていいじゃないか」
「いや、私たちからすればそうなんだけど！A本人が嫌だと思うよ？浮いてるじゃないか」
確かにそう言われてみればそうだ。
エルヴィンは財布からポケットマネーを出してハンジに渡した。
「ではこれで何か着せてやってくれ」
それを受け取ったハンジは目を丸くする。
「どうした」
「え。いやぁ。なんか違うなぁと思ってね」
「何がだ」
「いや。…うん。いいんだ。あのさ、Aは同伴者って事でつれてきたのかい？」
「ああ」
「あ〜…はぁ。そっか。分かった。いい事だよね、きっと」
ハンジは何かを察し始めて、「任せてよ！」とうなずいた。
そしてAの方を見ると、リヴァイと話をしており、この男に珍しく笑っていた。
そんな姿を見ているとつくづく思う。
何故自分はこんなにも遅かったのだろう。
Aの事だけじゃない。
いつも踏み込みが遅く、様子をうかがっていたらそのまま時間が過ぎている。
そして横から奪われるのだ。
(俺は、臆病だな)
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ララ(プロフ) - pさん» コメントありがとうございます。エルヴィンが大好きなので、楽しんでいただけたならとても嬉しいです！ (2021年10月2日 2時) (
レス) id: fde67403b5 (このIDを非表示/違反報告)
p(プロフ) - ララさんの書かれるエルヴィンが大好きです。素敵なお話、ありがとうございます！！！(￣^￣゜)♡ (2021年10月1日 20時) (レス) @page20 id: 237578d476 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ララ | 作成日時：2020年12月29日 10時
