第17話 ページ17
夕方、Aがいると聞いた研究室に行くと、熱心に立体起動装置の手入れをしていた。
この後食事にでも誘えないかと思ったが、話しかけてみたがやはり取り付く島もない。
食事の誘いすら予期していたのか、切り出す前に断られた。
エルヴィンに振り向きもせず研究所を出ていく。
「…困ったな」
エルヴィンは小さくつぶやいた。
それから数時間後。
エルヴィンは自室でどうしたものかと考えていた。
しばらくそうしていると、ノックの音がして、返事をすると兵士が1人立っている。
「どうした。こんな時間に」
「夜分に恐れ入ります！団長にお話があると、ドーク夫人がいらしております！時間も遅いので、団長がいらっしゃるか分からないとは一応お伝えしておりますが…いかがなさいますか？」
「…。分かった。応接室にお通ししてくれ。すぐに行く」
兵士が敬礼をしてドアを閉めるのを確認してエルヴィンは席を立った。
マリーとはもう2人で会わないとはっきり伝えてから会っていない。
それでもわざわざこんなところまで来るという事は何かあったのかもしれない。
兵舎の門番の詰め所に併設された応接室に行くと、マリーが座っていた。
普段この部屋のソファには武骨な兵士しか座らないので新鮮だ。
早速要件を聞くと、彼女の口からAの名前が出た。
「エルヴィンが好きな人って、Aちゃんでしょう？」
「…何を言うかと思えば」
「今、よくあなたと会っていたお店にいるわ。行ってあげて？」
「…そんなことを伝えるためにわざわざこんな所まで来たのか？」
エルヴィンはマリーの正面のソファに座る。
「ええ。お仕事中ならやめておこうと思ったんだけど、自室にいるならいいかなと思って」
「君は憲兵団団長の奥方だ。こういうことはしない方がいい」
「それは分かってるわ。…だからここで話をするんでしょう？」
マリーは困ったように言う。
「エルヴィン。あなた達はすれ違いが過ぎるのよ」
「まったく。君までそんな事を…」
「他の人にも言われてるの？」
「ああ」
それを聞いてマリーは笑った。
「エルヴィンからしたらちょっと鬱陶しいかもしれないけど…皆、2人のことが大好きなのね」
そう言ったマリーは微笑んだ。
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ララ(プロフ) - pさん» コメントありがとうございます。エルヴィンが大好きなので、楽しんでいただけたならとても嬉しいです！ (2021年10月2日 2時) (
レス) id: fde67403b5 (このIDを非表示/違反報告)
p(プロフ) - ララさんの書かれるエルヴィンが大好きです。素敵なお話、ありがとうございます！！！(￣^￣゜)♡ (2021年10月1日 20時) (レス) @page20 id: 237578d476 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ララ | 作成日時：2020年12月29日 10時
