第16話 ページ16
図らずも早朝出勤となったエルヴィンは、仕方がないので仕事にとりかる。
しかしなにやらイライラする。
あまりプライベートな事でイライラする事はない…というよりも、こうしてイライラする事が嫌でイライラの要因になることは避けてきたのに。
(ここに来てまさかAにやられるとはな)
エルヴィンが黙々と仕事をしていると、ノックの音がしてまた誰かがやってきた。
返事をすると、入ってきたのはリヴァイ。
チラ、とそちらをみて挨拶をすると、リヴァイも挨拶を返す。
手に持った資料をエルヴィンに手渡す。
「判をくれ」
「ああ」
エルヴィンが引き出しから判を出しながらリヴァイから書類を受け取る。
そして資料に判を捺して返した。
そのあとはスッと自分の仕事に戻る。
書き物をしながら空いている左手の指で机をトントン叩くエルヴィンを、リヴァイはしばらく見ていた。
その視線に気づいたエルヴィンがリヴァイを見ると、フと鼻で笑われる。
「機嫌が悪いようだな」
「そうでもないさ」
「いいや。お前は機嫌が悪い」
そう言い張るリヴァイに、エルヴィンは息をついて書類の上に肘をついた。
そして少しリヴァイに微笑む。
「リヴァイが羨ましいよ」
「あ？なんだ急に」
「素直でいられて羨ましいよ。つくづくそう思う」
「お前がひねくれ過ぎてんだろ」
その言葉に小さくため息をつくエルヴィンにリヴァイは首を傾げた。
「おい、エルヴィン。お前そんなにセンチメンタル野郎だったか？」
「俺が？…ははは、そうだったのかもな」
「機嫌が悪い上に調子も狂ってやがる」
そう言い残してリヴァイは背中を向ける。
「エルヴィン」
背中を向けたまま呼び掛けるリヴァイに、エルヴィンは視線を向けた。
「俺は、お前には勝てねぇらしい。色んな意味でな」
「…リヴァイ？」
「お前が行かないなら行く。行くなら…諦める。一旦な」
「…」
「俺はどっちも嫌いじゃねぇ。それを後から来た俺がひっかき回すのは不本意だ。てめえが惚れたヤツの幸せくらい願えるつもりだからな。…だから、ちゃんと話をしろ」
リヴァイはエルヴィンの言葉を待たずに部屋を出て行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ララ(プロフ) - pさん» コメントありがとうございます。エルヴィンが大好きなので、楽しんでいただけたならとても嬉しいです！ (2021年10月2日 2時) (
レス) id: fde67403b5 (このIDを非表示/違反報告)
p(プロフ) - ララさんの書かれるエルヴィンが大好きです。素敵なお話、ありがとうございます！！！(￣^￣゜)♡ (2021年10月1日 20時) (レス) @page20 id: 237578d476 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ララ | 作成日時：2020年12月29日 10時
