第15話 ページ15
翌日、エルヴィンはAの退院手続きに付き合おうかとも思ったがやめた。
やめたというよりも行けなかった。
始業時間より早く迎えに行こうと思い、着替えまでしていつもより早く自室を出たのに。
ハンジ曰く、Aのあの態度は自分が彼女にとっていたものと同じだそうだが、自分がやられてみるとなかなか堪えた。
そのせいで動けなかったが、それすら見透かしたようにハンジとミケが執務室を覗いてきた。
「あ。いた。この時間に居るって事は行ってないね」
「だろうと思ったがな」
ハンジはともかく、ミケは今までエルヴィンとAのこういったことには全く口出ししてこなかったくせに、ここ2日はやたらとこの件で絡んでくる。
通常勤務時の服装よりも少し綺麗めな服を着ているエルヴィンに「部屋を出るまでは行く気だったみたいだけど」と鋭い一言を投げつける。
「大丈夫だよ。迎えに行ったのはモブリットだから」
何も聞いていないエルヴィンに勝手に報告をしてくるハンジ。
「朝一でAから私に連絡が来てね。退院手続きやら支度が多いから手伝ってほしいって言われたから、モブリットにお願いしたんだ」
「…そうか」
「リヴァイじゃなくてホッとした？」
「まったく。朝っぱらから何を言いに来たのかと思えば」
「だって楽しいじゃないか！こんな兵団の、唯一の娯楽なんて、人の惚れた腫れたくらいだよ！？」
ハンジはこの状況を心底楽しんでいる事を白状する。
この様子ではミケも同じなのだろう。
「ハンジ。そもそもモブリットとAがどうこうなる可能性はないのか？」
ミケが言うとハンジは手をポンと打った。
「それも面白そうだね！」
これ以上滅茶苦茶にされては大変だ、とエルヴィンは口をはさむ。
「…待て。私がAをどう思っているかは、もうお前たちの中で決定事項なのか？」
思えば一度も彼らに公言したことはない。
「当然！」
「いつかはこうなることを予測していた程だ」
エルヴィンはフン、と息を吐くと椅子に腰かけた。
「ま、行かなくて正解だよ。すんごい機嫌悪そうだったから」
「…」
「でも怒りの感情って、人と話してるうちにほぐれてくるだろうから、夕方頃に顔を出してみたら？じゃあね」
ハンジは手を振って部屋を出て行った。
ミケもそれに続いて出ていく。
2人がいなくなった執務室で、エルヴィンは苛ただしく机を指でトントンと机をたたいた。
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ララ(プロフ) - pさん» コメントありがとうございます。エルヴィンが大好きなので、楽しんでいただけたならとても嬉しいです！ (2021年10月2日 2時) (
レス) id: fde67403b5 (このIDを非表示/違反報告)
p(プロフ) - ララさんの書かれるエルヴィンが大好きです。素敵なお話、ありがとうございます！！！(￣^￣゜)♡ (2021年10月1日 20時) (レス) @page20 id: 237578d476 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ララ | 作成日時：2020年12月29日 10時
