第1話 ページ1
Aとは長く一緒にいた。
父が殺され、母が亡くなった俺を、父の同僚の教師だった彼女の両親が気にかけてくれた。
父が死んだのは自分のせいだと感じ始めた頃、その気持ちをなだめてくれたのはAの父親で、Aの母は俺が子供らしくいられるように接してくれた。
よく一緒に食事をしたし、家族旅行にもつれて行ってもらった記憶もある。
小さい頃のAは「私は冒険家になる！」と豪語し、常日頃鍛錬と称して屋根に上ったりして両親を困らせていたのだが、その活発さは近所の子供たちに好評で、何人もの子供を引き連れて冒険ごっこばかりしていた。
父親が殺された事であまり自分の考えを話さなくなり、周囲に距離を置かれていた俺だったが、Aは距離を変えずずっと傍にいた。
彼女は年頃になっても、どこそこで珍しいヘビを見つけただの、こうやったら石もナイフに出来るだの、絶対に緩まないロープの結び方だの、凡そその年齢の女子が話すような内容ではない事ばかりに一生懸命だった。
しまいには、壁外に無断で出た場合の罰則はどんなものかと聞いてきたので驚いた。
今にして思えば、そんな彼女が調査兵団に入ったのは自然な流れだったのだろう。
親のいない俺は、Aの両親の反対を押し切って志願兵となる。
彼らにこれ以上甘えてもいけないと思ったし、父親の事もあって調査兵になりたかった。
それに自分が昇進した暁には恩返しをしようと思っていたから。
…結局、彼らは流行り病で亡くなってしまうのでそれも叶わないのだが。
そして志願兵時代、俺はナイルとマリーに出会った。
志願兵達と休みの日に訪れたバーに彼女はいて、きっとナイルと俺は同時に彼女を好きになった。
そんな俺の気持ちをいち早く察したのは、ずっと一緒にいたAだ。
志願兵になってから大分疎遠になってしまった俺に、まだ存命だった両親からの遣いで何度か差し入れを持ってきてくれていたAと、その待ち合わせにマリーの店を指定したことがある。
その際の俺の彼女に対する態度で感づいたようだった。
「2人を応援する！きっとお似合いだわ！」
そう言って橋渡しをしてくれていた時期もある…が、いつからだろう。
用事がある、と断られだしたのは。
そしてその理由を迫った俺に、Aは言ったのだ。
「エルヴィンの事が好きだから、協力はできない」
「本当は、ずっとずっと前から好きだった」
「好き」
「エルヴィンが好き」
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ララ(プロフ) - pさん» コメントありがとうございます。エルヴィンが大好きなので、楽しんでいただけたならとても嬉しいです！ (2021年10月2日 2時) (
レス) id: fde67403b5 (このIDを非表示/違反報告)
p(プロフ) - ララさんの書かれるエルヴィンが大好きです。素敵なお話、ありがとうございます！！！(￣^￣゜)♡ (2021年10月1日 20時) (レス) @page20 id: 237578d476 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ララ | 作成日時：2020年12月29日 10時
