第94話 ページ47
「…2人で、ではなかったのか?」
翌日、兵舎前には、エルヴィンとAとハンジとリヴァイが立っていた。
エルヴィンはいつのもポーカーフェイスを崩さずにリヴァイとハンジを見た。
「いや!たまたまなんだよ!たまたま!私とリヴァイも祭に行こうって言っててさぁ」
「まさか同じ時間に同じ場所で待ち合わせてたとはな」
ハンジとリヴァイは白々しい。
不服そうにするかと思ったエルヴィンだが穏やかに微笑んだ。
「まあいい。たまには4人で出かけよう。楽しそうじゃないか」
そう言うと歩き始めた。
自然と、前をエルヴィンとリヴァイ。
後ろをハンジとAが歩く。
最初こそうっすらと不満そうだったエルヴィンだが、祭の催されている通りに出るとその様子も和らいだ。
気付いたら4人で横並びになって歩いており、4人でゲームをしたり、食べ歩きをし始める。
リヴァイとAがやたらと射的やら輪投げが得意で、白熱していた。
エルヴィンとハンジは古本市で興奮して、何やら小難しい討論をしていた。
思えばこの4人でプライベートで昼間に出掛けるなんて無かった事だ。
そして15時ごろ。
広場でダンスが行われており、それに参加しよう!とハンジが言いだす。
リヴァイは拒否して近くのスタンドバーに居座ったが、意外とエルヴィンは乗り気だったようで。
「おいで、A」
「私はダンスなんて踊れないからあっちで何か飲んでるわ」
「いいから」
有無を言わさずにエルヴィンがAの手を取って輪の中に入っていった。
それを少し離れた所から、ハンジとリヴァイは眺める。
「なんかこうしてるとお似合いだよねぇ」
揃って長身で、こうして見ていると確かにお似合いの2人だった。
兵士の服を着ていない2人は、別の人みたいだ。
自然と周囲の人が彼らを見る。
エルヴィンは片腕しかないのに、Aを上手にエスコートしている。
「私も、諦めなきゃね」
「あ?何をだ?」
リヴァイの問いにハンジは答えなかった。
「A」
「な、なに?今忙しい」
エルヴィンに合わせるのに必死なAが返事をする。
「この曲が終わったら抜けよう」
「…え?」
「君とのディナーを邪魔されたくないんだ」
Aは少し戸惑ったように俯くが、そのタイミングで曲が終わった。
エルヴィンはAの手を取ると半ば無理矢理人込みに入っていった。
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作者名:ララ | 作成日時:2021年5月7日 20時