もう1人のアッカーマンー中編ー (ページ41)

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第88話ページ41

大きな音が地下に響いた。

鉄格子の外から伸びてきたナイルの手に捕まれたAが、檻に思い切り叩きつけられた音だ。

「寂しいことを言ってくれるな。一度は愛し合った仲じゃないか」
「それだって酒に何かを混ぜて無理矢理したんでしょう」
「なっ…」
「…気付かないふりしてあげてたのに。馬鹿なんだから。私が貴方と食事に行かないのは、それを知ってたからよ」

「黙れ！誰にでも股を開くアバズレが…！情報を集める為に何をしてたかも知ってるんだぞ！？」

「何も分かってないのね。私は今まで一度だって誰かの為にシたことはないわ。セックス遊びも、喧嘩も、自分がしたいからしてただけ。私にとって同じ位の快楽なの。そしたら勝手に色んな話が入ってきただけだわ」

うすら笑いを浮かべるAにナイルは舌打ちをすると「後悔するぞ」と言って、また睡眠薬らしきものを注射して来た。
意識が朦朧とする頃、ナイルは地下牢の扉を開けて部下になにやら指示をした。

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「しっかりして！A！」

自分の名前を呼ぶ声にAはゆっくり目を開けた。
まだ石の床に倒れているらしい。
身体がヒンヤリする。

抱き上げられる感覚がしたが、体がしびれているようで感覚が良く分からない。
水で浸した布で顔を拭かれて少しずつ意識がはっきりしてきた。

目の前にはハンジがいる。
返事を返せずにゆっくり瞬きをすると、ハンジが後ろにいるのであろう兵士に何か伝えた。

すると担架が運ばれてきて乗せられる。
「もう大丈夫だからね。ゆっくり休んで！…エルヴィンも無事だよ」
そう言われて、何もかも終わったんだとAは目を閉じた。

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次にAが目を覚ました時には、瞼に明るい光が差し込んできた。
眩しくて目が開けられず、思わず呻くと誰かが傍に駆け寄ってくる。
そこにはエルヴィンがいた。
(エルヴィン…？)

しかしよく見ると、それはリヴァイだった。

「……リバイ」
うまく舌が動かなくてたどたどしく名前を呼ぶと、リヴァイは目を見開いていて黙っていたが、すぐにいつもの顔になる。

「今、医者を呼んでくる」
言うなり部屋を出て行った。

ボーっとする頭で待っていると医者がやってきてベッドに座らされる。

「リヴァイは…」
「外で待ってもらっています。貴方の身体の事を話さなくてはなりませんので。体調は大丈夫ですか？」
医者に聞かれて頷こうとすると軽く眩暈がした。