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第85話 ページ38

ヒンヤリした感触に、Aは目を覚ました。

それは全身に感じる石の床の感触だった。

「…また眠らされたのね」

小さくそう呟くと起き上がる。
頭がまだぼんやりする。

ゆっくり辺りを見渡すと、狭い鉄格子の中にいる。
小さなベッドと簡易トイレくらいしか置くスペースがないそこは地下牢で、首と両腕には鉄格子に繋がれた手錠がかけられていた。

「はあ…」

浅く長いため息をついたが、ただむなしく地下に響くだけだ。
日の差さないこの場所で、目が覚めるたびに強い薬で眠らされ、一体何日経過したのか分からない。

(もしかしたら1日も経ってないのかも)


-----

ここに捕まったのは、ハンジを援護した時だ。

エルヴィンが拘束され、処刑されるという報せを聞いて程なく。
いきなりハンジ達は中央憲兵に襲われた。

ハンジとモブリットもそれなりに手練れだが、やたら強い男が1人混じっていて応戦するのがやっとだった。
だから2人を逃がすためにAが捕まった。

ハンジはギリギリまで反対したが、その男はやたらAを狙っている風に見えたから、恐らく狙いは自分だろうと踏んだのだ。

やはり捕まったAはその男にねじ伏せられた。
男はマジマジとAの顔を見ると、首元のネックレスに目をつける。
そしてそこに書かれた「アッカーマン」と言う言葉に反応した。

「これ、お前の名前か?」

アッカーマン、とだけ聞いて名前だと分かるという事は、この男は何か知っているのかもしれない。
男は舌打ちをすると「リヴァイが偉くご執心って情報だったから気になって捕まえてみたが。やっぱり同族同士惹かれるもんなのかねぇ」と呟いた。

その言葉の真意を訪ねる前に、口に布を突っ込まれたので何も言えなくなってしまう。

「まあどうでもいいことか。お前は下手すりゃお前のファンの憲兵どもの慰み者だ」

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そして今に至る。
ナイルが度々1人でこの地下牢に来る。

そしてエルヴィンの拷問の様子を教えては「エルヴィンを説得しろ」と言われて、断ると睡眠薬を投与してどこかへ行く。
寝ている間に何をされているのかは分からない。

(さすがに挿れられたら分かると思うから、何もされてはいなさそうだけど。一気に気を失うって、どんな強い薬を入れてるのか…頭痛い)

Aはベッドによじ登って伏せた。

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ララ | 作成日時:2021年5月7日 20時

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