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第82話 ページ35

調査兵団は今、てんやわんやだ。

調査兵団自体、先日の壁外調査で兵士をたくさん失っただけではなく、憲兵や駐屯兵まで巻き込んで死なせてしまったので、調査兵はそちらの業務も手伝っている。

リヴァイは新生リヴァイ班を結成してハンジを伴いエレンの巨人化訓練に力を入れる事になった。
また彼らは町はずれに困りっきりだ。

一方Aはハンジが持ち帰った報告書をまとめたり、憲兵や駐屯兵に出向したりでバタバタしている。




憲兵団に書類を持っていった帰り道、Aはうなだれた。
ここ数日、憲兵団に行くことが多いのでナイルと顔を合わせることが多い。

彼は今や、結婚して子供も3人目が生まれると聞くのに、いまだに会うたびに誘ってくる。
台詞はいつも似た様な事。

ーエルヴィンとは付き合ってるのか?ー

ー付き合っていないなら、特定の男はいるのか?ー

ーいないなら今日、食事に行かないか?ー


一度恋人がいると嘘をついたことがあるが、その時は酷かった。
どこの誰かとあまりにもうるさくて、嘘だと白状するまで食い下がられた。


しつこい男は多いがナイルはずば抜けている。
彼の場合、食事だけではないのは明らかだ。
どんな形にしろ婚約者がいるエルヴィンにすら遠慮するのに、妻子持ちになど行けるはずもない。

後々面倒な事になるのは目に見えているからだ。

ただしナイルに至ってはハンジ曰く、「あれはエルヴィンへの対抗心」らしい。


ナイルは、エルヴィンと共に調査兵を目指していた。
上位10位に入っていた彼らは、ほぼ同時に同じ女性を好きになったと聞く。
その相手は恋人に憲兵を願い、ナイルは調査兵志望をやめて憲兵になった。

しかしエルヴィンはそのまま調査兵を選ぶ。

その2年後に、憲兵団にまで噂が届くAという人物が調査兵団に入団した。

訓練兵首席で逸材。
オマケに美人。
そんな彼女がエルヴィンと親しげだったことに対抗心がある…というのがハンジの見立てだ。



流石に相手の顔が好みというだけであそこまでなれるとは思えないから、ハンジの見立ては正しいとAは思う。


「とりあえず、これを出しに行かなくちゃ」

Aは手元の封筒を見た。

これはピクシス指令から受け取った手紙で、エルヴィンに渡すように言われている。
思えばあれから会っていない。
Aは兵団病院に向かった。

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ララ | 作成日時:2021年5月7日 20時

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