第64話 ページ17
その日、調査兵は空気が重かった。
Aは小さな花束をそっと墓に添える。
あれからすぐに壁外調査に向かった。
しかしそこで女型の巨人の襲撃に遭う。
女型の巨人の正体をアニ・レオンハートに絞ったエルヴィンは、壁外調査から帰って程なくして、他の共謀者と接触されない様に兵団を2つに分けた。
壁内でアニを捕縛する班と、郊外で共謀者候補たちを見張る班だ。
Aは勿論ハンジに付き合って壁内組になったが、アニは結晶化してしまい口を閉ざした。
そして今は、その騒動の片づけの真っ最中。
そんなバタバタしている中、Aが今いるのはリヴァイ班の墓だ。
壁外調査で亡くなった者は兵団墓地に埋葬される。
身体の一部も持って帰れない事がほとんどだから、形だけのものばかり。
このリヴァイ班の墓の下にも、彼らの物なんてなにも埋まっていない。
「あなたが墓参りなんて珍しいね」
Aの隣に立つハンジと、その少し後ろにいるリヴァイ。
「あまりちゃんと人と関わらないからね。それにここには骨もロクに埋まってないし」
そう言って立ち上がる。
そんな彼女が来るという事は、リヴァイ班には少なからず思い入れがあったことが伺える。
ハンジも少し微笑むと墓を見た。
「そうだね。彼らの名前を忘れない事。その為のお墓だね」
3人でしんみりしていると、墓地に慌てた様子のモブリットが駆け込んできた。
ただならぬ様子に全員顔を見合わせる。
調査兵団詰め所の会議室に行くと、エルヴィンが難しい顔をしていた。
聞けば郊外で見張りをしていた兵士からの伝達があって、突然の巨人出現により兵士に危機が訪れているらしい。
壁内で巨人が出た事も理解できないが、とりあえず少数精鋭で救援に向かう事になった。
ハンジが二つ返事でそちらに向かう事を了承し、Aもそれに続く。
ハンジはミカサやエレンを始めとした即席メンバーで救援に向かった。
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作者名：ララ | 作成日時：2021年5月7日 20時
