第62話 あなた視点 ページ14
自室に入ると、ベッドの上にリヴァイが転がっていた。
彼の事だからすっかり身綺麗にした状態でベッドの上にいるんだとは思うが、女性の部屋に勝手に上がり込んでいる方が重要だ。
しかしリヴァイは意に介さないといった風に、そこで呑気に本を読んでいた。
「なにしてるの」
「お前を待ってただけだ。最近ロクに話も出来てなかったからな」
「…リヴァイまでそんなこと」
不意にそう呟いたAに、リヴァイは本から顔をあげる。
「なんだ。エルヴィンにも言われたか?」
Aは一瞬固まった。
なるほど…それを確かめたくてここに来たのか、とAは察する。
髪を拭きながら机の前の椅子に座って、リヴァイの方を見た。
「私が今日、エルヴィンと話してたの知ってるの?」
「ああ。お前がここに来た時にエルド達が話してたのはその事だ」
「そう」
Aはそう言ってふと机の上を見る。
そこには壊れたネックレスがあったはずだったが、そこにあったのは綺麗に修理されたネックレスだた。
「これ」
Aがネックレスを持ち上げる。
「壊れていたようだから直しといた。いつも着けてるもんだろ」
「…ありがとう。リヴァイにも直せるのね」
感心したようにそう言ったAにリヴァイが首をかしげたが、彼女は少し機嫌良さそうに微笑んだ。
なんとなくこれは、エルヴィンにしか直せないと思っていた。
どの貴金属店に持って行っても古すぎて直せないと言われていたのに、その事をエルヴィンに相談したらいとも簡単に直してしまったからだ。
それからというもの、なんとなくこのネックレスの修理はエルヴィンに頼んでいたのだが、今日の件があってもう頼めないな…と思っていた所だった。
でもそれはリヴァイには言わないでおくことにする。
「修理した時に見ちまったんだが」
少しだけ言いにくそうにリヴァイが言う。
「アッカーマンってなんだ」
Aはネックレスを撫でる。
細くて古いチェーンに、胴の細い棒状の飾りがついただけのシンプルなネックレス。
その棒状の部分には「アッカーマン」と彫り込まれていた。
「…アッカーマンは、私の本当のファミリーネームよ」
その言葉にリヴァイは驚いたようにAを見た。
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作者名:ララ | 作成日時:2021年5月7日 20時