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第61話 あなた視点 ページ13

シャワールームに行くと、ちょうどペトラが出てきた所だった。
ペトラはペコッと頭を下げてシャワールームを出て行く。

Aもシャワールームの一角に入ると、蛇口をひねった。
今は使われていないこの建物のシャワーからお湯など出るはずがなく。
幸い暖かい季節なので水で髪を軽く流した。


正直、ペトラがシャワーを終えた後のタイミングに来てかなり助かった。

なんとなくペトラが苦手だからだ。


ペトラは何とも思っていなさそうだが、Aは違う。
彼女の明るいエネルギッシュな雰囲気にあてられていると、何か、凄く自分が女性として劣化版のように見える。


幼い頃の自分はもっと活発で、ニコニコしていたと思う。

両親が亡くなった辺りをきっかけに喧嘩が得意になった。
初体験を終えた頃にはいきなりソッチ方面も得意になって、いつからかはもう覚えていないが、どちらも何をどうすればいいのか分かっていたように思う。
自分の身体は武器になるし、何かあった時には力任せに打開できる術もある。

それに気づいた時から、いつも俯瞰して物事を見ていた気がする。

両親が亡くなってから引き取られたクロフト家には子供がいなかったのもあって、凄く可愛がってくれたと思うしいい人だったが、やっぱり本当の両親ではないからどこかで気を遣っていた。

だから反抗期をそういう形で発散させていたんだろう。
本能のままに生活していた。

ハンジに誘われて訓練兵になるまでは、男の家に入り浸って滅茶苦茶だった。

そんな自分と比べたら、ペトラは若くて可愛くて、でも歳の割に落ち着いていて。

そんな彼女の近くに、こんな状態の自分がいることが酷く醜く感じて仕方がない。



(…エルヴィンのせいで色々調子が狂ってる。誰かと自分を比べるなんて、今までほとんどしたことがなかったのに。…最近はこんな事ばっかり)

シャワーを浴び終えたAは蛇口を閉めると髪を拭きながら部屋に向かった。

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ララ | 作成日時:2021年5月7日 20時

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