もう1人のアッカーマンー中編ー (ページ11)

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第59話ページ11

「団長とAさんが話をしてたんですよ！」

リヴァイ班達が寝泊まりする古城にて、夕食の後の団欒でオルオが声高に言う。

実は、Aとエルヴィンがバルコニーで話をしていた同時刻、ペトラとオルオが調査兵団駐屯地を訪れており、2人を目撃していたのだ。

リヴァイ班は街から遠く離れたこの古城で、数日前から詰めてエレンの巨人化実験を行う準備をしていた。
その間、リヴァイは不測の事態に備えてエレンにつきっきりなので、どうしても駐屯地に行く必要がある場合は班員の中では一番後輩のペトラとオルオが行っている。

この話が出たのは、報告書を提出して帰って来たオルオとペトラに「変わったことはなかったか？」とグンタが聞いたからだ。

エレンはまだ人の名前と顔が一致していないので、何のことだかサッパリ分からず、とりあえずお茶を飲む。

「なんでそれが変わったことなんだ？元々仲良かったろあの2人」
エルドが言うと、ペトラは頷いた。

「そうなんですけど…何か、久しぶりにあんな感じのお二人を見たなぁって…後ろ姿しか見えませんでしたけど、団長も楽しそうでした」
「いい雰囲気だったよなぁ」

何故かウットリするオルオに、「おかしなこと考えるんじゃないわよ」と釘を刺すペトラ。
グンタとエルドはそれを見て笑った。

「そうか。言われてみれば、団長には縁談の話が持ち上がってからこっち、あんまり2人でいる所は見なかったかもな」
グンタが言う。

「お相手の事もあるから、お互い気を遣って距離を置いていたのかもしれないな」

エルドの意見はもっともだ。
その場にいた全員が彼の意見に納得し、ただそれだけだった。

リヴァイだけをのぞいて。

すると部屋のドアが勢いよく開いて人が入ってくる。
「やぁやぁ皆さんお揃いで！何の話？」

入ってきたのはハンジと、噂の的だったAだ。

Aを見てエレンが思わず、「あ！Aさんてこの人か！」と声をあげたのでエルドが小突くが…。

「…エルド。もういいよ。聞こえてた」

冷たいトーンのAの声に、エルドがひきつった笑みを浮かべる。

「当事者のいない所で好き放題ウワサしてるほど暇なら「まーまー、いいじゃん！噂されるうちが花だって！ねえ！」

無茶苦茶な事を言いながらAの小言を遮ったハンジに、一同はホッとする。
しかしまたエレンが余計な事(巨人に興味がある的な事)を言ったので、今度はハンジの講義が始まった。