検索窓
今日:20 hit、昨日:173 hit、合計:1,763,928 hit

49 ページ49

.



「ん…いててて」


Aが漸く目を覚ます。
見慣れぬ景色にキョロキョロ目玉を動かし、此処が病院であることに気がついた。


「目ェ覚めた?」
「イザナくん!」


ベッド脇の椅子に座っていたイザナが声をかける。
「取り敢えず起きたならナースコール押さねェと」

そう言い、イザナは手に持っていたナースコールを深く押し込んだ。



_____


「イザナくん、毎日お見舞い来てくれてたの?ごめんね…」
「なんで謝ンの?A悪いことしてねーじゃん」

気にすんなよ、と微笑むイザナ。頭を撫でる手つきは酷く優しい。


「…でも、オマエほんっと学ばねェよな」






イザナの纏う雰囲気が、変わった。


Aは恐ろしさを感じる。イザナが自分のことをAと呼ばず、"お前"と呼ぶときは、何かやばいことが起こると自分でもわかっていた。




「俺のいねェところで危ない目に遭うの、好きなの?」


なァ。とAに詰め寄るイザナ。


瞳孔が開ききっており、濁った紫色の瞳にはAの怯えた顔が映る。



「何回言ってもわかんねェなら、身体で教えてやるよ」


そう言ってイザナは腕を伸ばした。

掴んだのは、Aの首。



「んっ…!?イ、イザナくん!」

「ちょっと黙れ。俺怒ってンだよ」


ぎゅう。イザナの片手は、細いAの首を包むのに充分すぎた。


片手でAの首をじわりじわりと締めるイザナ。

だんだんAも気道を塞がれ、苦しそうな表情へと変わっていく。


「ッくるし…」
「…これでわかった?」


ぱっと手を離したイザナ。Aは咳き込みながら酸素を急いで吸い込む。


「なァ、A」

「俺のいないところで怪我したらどうなるか」



「わかったよな?」

ニコリ。Aの目の前には満面の笑みのイザナしか映らなかった。




「じゃ、今日のところは俺帰るな」
「またな、A」


お大事に。と言い残して病室を出ていったイザナ。

Aは、暫く動けなかった。

50→←48



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (868 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2983人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まる(プロフ) - さとにゃんさん» 嬉しいコメントありがとうございます♡灰谷兄弟もいずれ出てきますので楽しみにしててください…! (2021年9月22日 17時) (レス) id: 7672e7a131 (このIDを非表示/違反報告)
さとにゃん(プロフ) - とっても好きです!灰谷兄弟との絡みも見たいです…!!これからも頑張ってください! (2021年9月22日 11時) (レス) id: 805449d27a (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - mikittyさん» 私も好きです♡読んでくださってありがとうございます! (2021年9月21日 19時) (レス) id: 7672e7a131 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 好きです!! (2021年9月21日 15時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ぽにゃるさん» 素敵な作品と言って頂けて非常に嬉しいです(^^)ありがとうございます!今後ともよろしくお願いします! (2021年9月20日 23時) (レス) id: 7672e7a131 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まる | 作成日時:2021年9月18日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。