検索窓
今日:113 hit、昨日:116 hit、合計:1,763,848 hit

44 ページ44

.


「A」
「イヌピー!元気だったー?」


真一郎のバイクショップでであった2人。
相変わらず乾はAの好きなジュースを手に持っていた。


「ほら、ジュース。今注いでやるから座ってろ」
「いつもごめんね…ありがとう」
「いや、俺が好きでやってることだから」


机に置かれたグラスが照明に当たってキラキラ光る。


「…なあ、A。東卍に入ったってほんとか?」
「あれ、知ってたの?情報早いなー」
「真一郎から聞いた」


真一郎くん、Aの情報ペラペラ喋りすぎ…と思ったAの肩を乾が強く掴む。


「っえ、どうしたの?」
「…んで」


「なんで東卍なんかに入ったんだよ、A」


乾の瞳はどす黒く濁っていた。
Aは乾の様子が可笑しいのに気がつく。

しかし今日は真一郎もイザナもいない。誰も助けに来れない状況である。

それを知っていて乾は今日、この店に、Aを、尋ねたのであった。



「Aは、俺と一緒に黒龍に入るって約束しただろ…」
「し、してないよイヌピー。何か記憶違いしてるよ」


「俺は間違ってない」


肩へ食い込む指の力が強まる。
勢いあまって乾が机へぶつかり、机の上のグラスが倒れる。中に入っていたジュースが机を、床を濡らして、ジュースの色が床を侵食していった。

それに比例するように乾の瞳も真っ黒い何かに侵食されていく。


「お前は、俺と一緒にいなきゃいけない筈だろ?」
「なあ、俺が、間違ってるか?」



「っ、イヌピー!痛い!!」


Aの痛がる声を聞き、乾はハッとしたように手を離す。
よく見てみるとAは涙目だった。


「ッ悪い…!見せろ。兎に角冷やさねェと…」
「イヌピー、怖い。いきなりなんで怒ったの?ねぇ、Aが悪いことしちゃった?」


ぐすぐすと、涙を耐えながらそう尋ねるAを見て乾に罪悪感がどっと押し寄せる。


できる限りの応急処置をした後、乾は無言で立ち上がる。


「A。痛ぇし怖かったよな、悪い。ごめんな」




「…暫く頭冷やしてくる」




そう言って乾は出ていった。

45→←43



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (868 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2982人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まる(プロフ) - さとにゃんさん» 嬉しいコメントありがとうございます♡灰谷兄弟もいずれ出てきますので楽しみにしててください…! (2021年9月22日 17時) (レス) id: 7672e7a131 (このIDを非表示/違反報告)
さとにゃん(プロフ) - とっても好きです!灰谷兄弟との絡みも見たいです…!!これからも頑張ってください! (2021年9月22日 11時) (レス) id: 805449d27a (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - mikittyさん» 私も好きです♡読んでくださってありがとうございます! (2021年9月21日 19時) (レス) id: 7672e7a131 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 好きです!! (2021年9月21日 15時) (レス) id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ぽにゃるさん» 素敵な作品と言って頂けて非常に嬉しいです(^^)ありがとうございます!今後ともよろしくお願いします! (2021年9月20日 23時) (レス) id: 7672e7a131 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まる | 作成日時:2021年9月18日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。