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「八戒くん、どうしたの?」
三人の方へ向き合う八戒に対しAが優しい声色で話しかける。
「俺がお礼言ってたって、タカちゃんに伝えといて欲しいんだ」
「うん、勿論。でも、なんで?」
Aの瞳に見つめられた八戒は少々フリーズしながらも必死に話し続けた。
「ウチの家庭、複雑でさ…」
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そこからは、三人とも声を発せなかった。想像を絶する内容に何と言えば正解なのかわからなかったのだ。
「大寿はタカちゃんと交わした約束なんて屁とも思ってねぇんだ。柚葉を解放なんて、大寿は絶対しない」
「じゃあ、どうすれば…!」
花垣が焦ったような声を出せば、それを咎めるかのように八戒が続ける。
「恥ずかしい話だけどよ、未だに大寿の前に立つと震えちまってさ、俺なんにもできねぇんだ」
くしゃりと、少年らしい笑みを浮かべていた八戒はそう言い終えるや否や拳を握り締め、何か決意したような顔つきに戻った。
「大寿さえいなければ………!だから俺は決めたんだ。俺はその為に東卍をやめた」
「東卍の顔に泥を塗りたくなかったから」
「八戒くん…」
「結局、Aちゃんには色々迷惑かけちゃったけどね」
心配そうに揺れるAの瞳をしっかりと捉え、八戒は安心させるかのように笑いかけた。
「俺はこれから家族を守る為に暴力を振るう」
八戒の声が、一面に凛と響き渡る。
「俺は、大寿を殺す」
「だから、もう俺に関わるな」
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飛鳥 - 続き楽しみに待ってます! (3月14日 7時) (レス) @page36 id: 2cfd6d6f99 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - めっちゃ好きです!!!続き待ってます!気が向いたら更新してください!応援してます! (12月29日 17時) (レス) @page36 id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
シア(プロフ) - 続き楽しみにしてます!! (10月28日 20時) (レス) @page35 id: 38b8a932a2 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのみき - 東リベの夢小説史上面白い小説でした!更新頑張ってください! (10月13日 22時) (レス) @page34 id: d976c5d16a (このIDを非表示/違反報告)
名無し68593号(プロフ) - 更新ありがとうございます‼️最高です (10月6日 23時) (レス) id: 38145731e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まる | 作成日時:2021年10月16日 21時