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「ッくそ、その顔狡いだろ…!!」

はあ、とため息を吐く竜胆。怒りは何処かに行ってしまった様だ。


「来年の夏は俺と祭り行けよ、新しい浴衣も買う」
「いいの?竜胆くんと行きたい!嬉しいなぁ」
「…ほんとズリィ奴」


と、竜胆はとろんとした瞳で笑みを洩らす。そしてそのままAの髪に口付けた。



「ん、絶対また電話しろよ。デート楽しかった」
「勿論!竜胆くんこそAとまた遊んでね」
「A相手なら無理矢理でも予定空けるし」




__刹那。竜胆の頭スレスレにバットが通り過ぎる。危険を察知した竜胆はAを胸に抱き、バットが当たらない様にしゃがみ込んだ。


「Aさん、大丈夫ですか!?」
「は、春ちゃん…?」
「お前正気か?Aに当たったらどうすんだよ、ちゃんと目ェついてんのか?」


竜胆へバットをフルスイングしたのは三途。何処からやってきたのかわからないがかなり怒りで興奮していた。



「お前灰谷弟だな?Aさんから離れろ」
「あ?ぶっ殺されてーのクソガキ、テメェAの何なんだよ。関節全部外してやる」


と両者互いに一歩も引かない睨み合い。その場に似つかわしいAの声。


「2人とも、知り合いなの?」
「…Aさん、こいつのこと知ってます?」
「え?うん。竜胆くんでしょ?」

三途の問いにそう答えるA。しかし三途は竜胆を馬鹿にした様な声色で話し始める。





「そうです。こいつと、それにこいつの兄…灰谷蘭ってやつ。2人とも人殺しで少年院入ってたんです。危ないので俺の方来てください。守りますんで」




"人殺し"、"少年院"。蘭、竜胆共にAに聞かれたく無かったこれまでの経緯をあっさりと三途にバラされてしまった。

「蘭ちゃんと竜胆くんが、人殺し…?」
「ハイ。そうですよ。Aさんも狙われてるんです。ほらこっち来て」

衝撃的な内容に茫然と立ち尽くすAを引き寄せる三途。

「違う、A!俺らお前を殺すなんて思ってねェよ!」
「言いくるめられちゃダメですよAさん。所詮人殺しの話なんか信用しちゃダメです」


今は何を言っても無駄だと判断した竜胆は苦虫を噛み潰したような表情で立ち去ろうとした。
最後に振り返ってAの様子を伺おうとしたが、三途の腕に抱かれていて見えない。


__代わりに見えたのは、嬉しそうに笑みを浮かべて竜胆へ中指を突き立てる三途だった。

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まる(プロフ) - ドンさん» 応援していただけて嬉しいです( ; ; )更新頑張りますので今後ともよろしくお願いします…! (2021年10月5日 21時) (レス) id: 7672e7a131 (このIDを非表示/違反報告)
ドン - まるさん» 分かりました、更新頑張ってください応援してます! (2021年10月5日 19時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ドンさん» コメントありがとうございます!夢主は自己投影して頂ければ嬉しいです…(^^) (2021年10月3日 20時) (レス) id: 7672e7a131 (このIDを非表示/違反報告)
ドン - 夢主人公のイメージイラストが見てみたいです (2021年10月2日 12時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 癒し系猫さん» 恥ずかしい( ; ; )変換ミスです💧教えてくださりありがとうございます( ; ; ) (2021年10月1日 17時) (レス) id: 7672e7a131 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まる | 作成日時:2021年9月25日 20時

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