急に耳が聞こえなくなったと思ったら超人気グループのイケメンから言い寄られてるんですが 【R.Meguro】

. ページ3

耳が聞こえなくなってからは、家で出来る仕事をしている。












そこまで給料も高くないので、生活が決して裕福な訳では無い。









私1人生きていける分には稼いでるけど。










『(………もう朝か)』



















聞こえることの無いアラーム付き時計の針は、午前6時を指していた。
















私はアラームを止めて、顔を洗ったり歯を磨いたり、準備をする。


















そう、今日は買い物に行かなければならないのだ。



















服を着替えて、朝ごはんを食べて。



















かばんには財布とスマホ、それから本と補聴器を入れて、私は家を出た。

















今はワイヤレスイヤホンなんてものが出回っているから、補聴器をワイヤレスイヤホンと間違える人が多い。
















だから、鞄にはメモ帳とペンも入っている。

















外の世界は変わってしまった。















今までは、沢山の音に満ち溢れていた。














人が歩く音。















学生がわいわい話す声。













信号機の音。



















車のエンジン音。












全てが、私にとって大好きな音で。















大好きな世界だった。












電車に乗って、下りるまで時間があるので本を読む事にした。














その本はありがちな恋愛小説。













私は耳が聞こえないと言う理由で、様々な男性に交際を断られた。

















もう20歳過ぎだし、彼氏の1人居てもいいんじゃないのか















そう周りから言われる度に心が痛くなる。













私の顔はいい方らしい。












その顔を目当てに寄ってくる男性も

『(私、耳が聞こえないの)』














そう一言メモに書いてしまえば















「あっ………そうなんだ。俺用事思い出したわ」
















そう放って帰ってしまう。














「はあ………なんで私が。」















20歳という年齢にして、私は一人で生きていこうと決めていた。

















でも、やはり恋愛に憧れを抱いてしまう訳で。

















恋愛小説は好きだ。















いつか私もそんな恋が出来たら、なんて思いは心の片隅に忘れられていた。電車に揺られながら、自分の未来を考えていた。

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す