烏の主将に妬きもちの文字は無い。その3 [澤村大地]

そのきゅうじゅうさん。 ページ10

怪しい。




怪しすぎる。




何がって。








『菅くん。』


「んー？」


『あの女の子、誰。』


「さぁ、委員会の生徒じゃない？」


『…ほんと？』


「多分。」


『…怪しい。』


「佐々木が妬いてどうするよ。」


『そうだけどさ。』









髪ゴムが凄く似合う女の子。





この間の子だ。






誰ですか、彼女。









『菅くんよ。』


「何？」


『浮気ですか。』


「大地に限ってないだろ。ないない。」


『…私も言っててない気がする。』


「じゃあ何で言ったの。」


『だって可愛いんですけど、楽しそうなんですけど。』


「そうかー？…分かんね。」


『菅くんよく見てよ！』


「見てるよ…。」








後ろから顔を挟んで大地くんの方に向かせると。





話しにくそうにわひゃった、わひゃった、って。





菅くんは笑う。









『分かった？』


「うん、分かったから。」


『…麻婆冷たい。』


「そのあだ名ヤメて。」


『…いや、こんなことで凹むな、私。』


「大丈夫だって。」


『大地くんに甘えてもらうんだから！それで妬いてもらうんだから！』


「はいはい。」


『…何かプレゼントでもしようかな。』


「お、良いじゃん。」









身を乗り出した麻婆は。






大地に何あげるか考えてるの、って。






まだ未定なんだよね。









「大地が欲しそうな物…。」


『サポーター？』


「バレーから離れようよ。」


『でも…月バリとかサポーターとかそんなんしか思いつかない。』


「んじゃあ、買いにいく？」


『ほんと？』


「今日、大地居ないし丁度良いじゃん。」


『行く！菅くんナイスアイデア！』


「だべー？」









ここは男子の意見も大事だよ。






それに菅くんなら信用できる！






バレー馬鹿の変人コンビでも、皮肉大好き(ツッキー大好き)コンビでもない。









「じゃあ、坂ノ下からバス乗るか。」


『うん！』


「何がいいか、考えといてな。」


『任せて！』


「俺も何かいいのないか考えとくな。」


『ありがとう。』


「半年だからな。祝わないと。」









着々進む半年デート作戦。





くすぐったくて。





焦れったくて。







何か、楽しいですね、こういうのもさ。

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