烏の主将に妬きもちの文字は無い。その3 [澤村大地]

そのきゅうじゅういち。 ページ8

半年。




それはまぁ、６ヶ月だけど。





一年の半分でもあって。









『凄いと思わない？』


「僕は言い方を変えて同じ事を言うAさんが凄いと思います。」


『だって半年だよ？…なんかしたいなぁって。』


「そうですか。」


『冷たい。』


「休憩時間に呼び出されてそれはちょっと。…興味な…どうでもいいかなと。」


「月島、本音が隠れてない。」


『…大地くんを甘やかそう大作戦なの！』


「…はぁ。」


「あ、甘やかすんですか？」


『うん、新しい大地くんを発掘して心置きなく妬きもちを妬いてもらう！』








そういうと。




菅くんは佐々木はノヤたちと同じタイプだな、なんて。





誉めてるの。それ。









「ポジティブ馬鹿って言いたいんですよね、菅原さん。」


「ちょ、オブラートに包んでんだから。」


『包み切れてないよ。』


「甘やかすって言ってもどうやるんですか？キャプテンが甘えるところ想像できない。」


「したくない。」


『月島先生はさっきから人の心をえぐらないで。』


「大地に甘えてもらう…。あ、だからさっきもあんなに大地の意見に賛成したの？」


『菅くん、ご名答！』









手探りで。





まずは思いついたことからやらないと。





半年デートは待ってくれない。









「…キャプテンは何が好きなんですか？」


『大地くん？醤油ラーメン。』


「ぐんぐんバー。」


『肉まん。』


「ちくわマヨネーズパン。」


「いや、食べ物じゃなくて。」


「『バレー？』」


「親友と彼女にしては少ない情報どうも。」


『ひど！』


「ツッキー、まぁまぁ…。んじゃあ、あの…趣味とかは？」


『…バレーじゃないの？』


「DVDとかよく見るべ。」


『あ、あれも好き。読書。』








あんまりにぼやぼやした意見ばっかりで。





月島先生は甘やかす気あるのか、って雰囲気をぷんぷんさせる。





だって大地くん、いつでも部活一本だからなぁ…。









『あ、でもいざとなれば私が。』


「色気がないんだから黙っててください。」


『あるもん！』


「キャプテンはごろごろしたいんですよね？」


『…無視ですか。…そうだよ。』


「狙い目です。」


『なにが？』


「甘やかしながら連絡とってください。」









色々考えた彼は。





またあの笑顔を浮かべて。






確かにあなたの作戦はいつも素晴らしいんだけど。






私が上手くやれるか不安です。

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