烏の主将に妬きもちの文字は無い。その3 [澤村大地]

そのひゃくじゅうさん。S ページ30

にやにやにやにや。




佐々木が朝から。




俺の前でひたすらにやにや。








「…あ、そう。」


『あのね、ハンバーグをね、一緒に作ってね…』


「うん。」


『大地くんのハンバーグがべちゃべちゃになっちゃって、ちょっと凹んだ大地くんがすっごい可愛くて…』


「あ、そっか！うん、良かったな！」


『え、菅くん、どこ行くの？まだ半分も話してないよ？』


「え、いや、ト、トイレかな。」


『帰ってくる？帰ってくるよね？』


「あ、うん！」







佐々木が語り始めて約30分。





まだ半分も話してないって…何なんだよ。





大地が可愛いとか思ったこと無いよ、俺…。








「…はぁ、疲れた。」


「…何だ？朝からどうした。」


「ああっ、あの！」


「ん？」


「…大地の声だ。」








こっそり角から覗いてみれば。




佐々木がうるさかったあの子と大地。




…いや隠れなくてもいいんだけどね。








「…そうだなぁ、じゃあ昼休憩はどうだ？」


「はい！いつもありがとうございます！」


「いいよ。お前も頑張ってくれてるもんな。」


「いえ、私は別に！」


「ははは、頑張ってるよ。」








大地が自然な流れで一年の頭を撫でる。





こりゃ佐々木も妬くべ。




大地も考えて行動しないといい加減…








『…いい加減にしてよ。』


「だよなぁ、あいつも…って佐々木！？」


『しー。菅くん、ばれます。』


「あ、ごめん。…何でここに居んだよ。」


『大地くん達の声が聞こえたんだもん。…あの子のも。』


「あのな、あの一年は…」









ーあの子の事は秘密ですよ、菅原さん。





…そういや月島達に口止めされてた。




言えない、ごめん、言えない。









『なぁに？』


「え？」


『あの子が何？』


「いや…そういうんじゃ無いと思っただけ。」


『…そう信じてるけどさ。昨日の今日ですよ、上げて落とされた。』


「そういうつもりじゃないと思うけど…。」


『…私ばーっかり妬いてる。』


「そーゆー訳でもないと思うけど…。」


『…よし！』


「え、何！？」


『お昼、あの子のこと聞いてみる！』


「え！？」


『こんなモヤモヤ嫌だもん！』









菅くん行くよ、って佐々木に引かれて。





何で周りにはこうも単細胞が多いんだろう。





そんな風に迎えるHR。

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