5 ページ5
「おぉ〜、旨そうじゃん！！」
丁度出来上がりプレートに載せている所にサッチがそう声を掛けて来てくれた。
「へへ、ありがとう。これなら忙しいマルコも気軽に食べられるかなって・・・・あっ、お礼って訳じゃないんだけどサッチのも作ったんだ。良かったら後で食べて」
そう言ってもう一つのお皿をサッチに差し出す。
「マジか？！！！！くぅ〜、本当凜ちゃん良い子！！」
「わわっ、サッチ苦しい」
ギュっとサッチに抱きしめられ私は困ったように笑いサッチに訴える。
「わりぃわりぃ、凜ちゃんがあまりにも可愛くて・・・・マルコも喜ぶと思うから早く持って行ってやりな」
そうして私に親指を立てグッとサインを送る。
私はお礼を言って食堂を後にした。
マルコの部屋の前に立ちノックをすると中からすぐに返事があった。
「空いてるよぃ」
少し緊張しながら扉をそっと開け中に入る。
マルコは机に向かい何か書類の様な物に目を通していた。
「何だよぃ？」
マルコは私の方をチラと見るとすぐに書類に目を戻した。
その言い方がいつもと違い少し冷たさを感じさせる。
「マルコ忙しい所にごめんね。さっきね、食堂で朝ご飯食べたんだけどマルコ見かけなかったから・・・」
「朝は食わねえんだ」
相変わらず書類から目を上げないマルコに私は少し気後れしながらも言葉を続けた。
「そっか・・・・あっ、でもお腹空いたらつまめると思うから・・・」
「要らねぇよぃ。用が無いならそれ持って出て行ってくれねぇか？」
言葉の途中でそう拒絶され私はカタカタと震える手を何とか悟られない様にするのに精一杯だった。
涙がジワリと浮かんでくるのが分かった私は無理やり笑顔を作り言葉を続けた。
「そっか・・・・ごめんね、マルコ。・・・・本当にごめんなさい」
必死に堪えたつもりでいたが、最後は我慢が出来ずポロリと涙が零れた。
初めてマルコに拒絶された。
それを改めて実感すると私の心は締め付けられる様な苦しさに襲われ悲鳴を上げた。
私はもうそれ以上は何も言えず逃げる様にその場を後にした。
このまま食堂に言ってもきっとサッチに心配されると思った私はトレーを持ったままフラフラと船尾の方へ来ていた。
宴の時もそうであったが、ここは意外な穴場の様でこの時間は人影も見当たらなかった。
トレーをそっと床に置き手すりに寄りかかり海を見る。
真っ青な海のブルーと雲一つない空が今の自分とは対照的すぎて乾いた笑いが零れた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 163人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紗良咲(プロフ) - 星猫さん» 初めましてコメントありがとうございます。そう言って頂けると本当に嬉しいです!!高評価もありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします！ (2021年10月13日 22時) (
レス) id: 1086401827 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして！とっても素敵ですね！高評価しました！ (2021年10月13日 21時) (レス) @page3 id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紗良咲 | 作成日時：2021年10月12日 23時
