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「悪いね、ティーチお嬢さん少しばかりはしゃぎ過ぎた様だ」
ティーチの方を見向きもしない凜にイゾウは困ったように言う。
「そりゃー仕方ねぇな。チェリーパイ食うか?」
そう言ってティーチが凜にパイを差し出すが彼女はフルフルと首を振る。
そんな様子に困り切ったティーチが凜の頭を撫でようとした時だった。
「やぁっ!!!」
「っ!!」
それは一瞬の出来事だった。
ティーチが凜に触れようとしたその瞬間、彼女の身体から稲光の様な光が発せられそれがティーチ目掛けて襲い掛かった。
「凜?!どうした?」
彼女を抱いていたイゾウも驚きそう声を掛ける。
「ティーチ、大丈夫か?」
サッチとエースは慌ててティーチに駆け寄り怪我が無いかと声を掛けていた。
俺も慌ててイゾウと凜に声を掛ける。
「凜、平気かよぃ。もう大丈夫だ」
「うぅ・・・・マルコー・・・」
凜は俺を見ると泣きながらそう言って手を差し出して来た。
「もう大丈夫だからねぃ。誰も凜を傷つける様な事はしないよぃ・・・」
「マルコ、どういうことだい?」
イゾウも訳が分からないと言うように俺に声を掛ける。
しかし、俺は凜が落ち着く様に一刻も早くその場を離れるべく言った。
「すまないが説明は後だよぃ。俺は凜をモビーに連れて帰る。イゾウ、すまねいが後は頼んだよぃ」
その言葉にイゾウが一つ頷くのを確認し俺はその場を後にした。
モビーへと戻る間も凜は一言も発さず俯いたまま俺にしがみついていた。
俺も無理に話す事はせずに優しく背中を摩りながら船への道を急いだ。
「マルコ、随分早ぇ帰りじゃねぇか」
船へ着き甲板へと昇るとそこにはオヤジが座っており俺へそう声を掛けて来た。
「あぁ、ちょっと問題が起きたんだよぃ」
俺はそう言うと今はスヤスヤと寝息を立てている凜を見て言った。
「問題?・・・そりゃぁ聞き捨てならねぇなぁ」
「よぃ、凜をナースの所に預けてくるから待っててくれよぃ」
俺がそう言うとオヤジは何も言わず黙って頷いた。
ナースに寝ている凜を預け甲板に戻ると俺は先程の出来事をオヤジに話して聞かせた。
「ほぉ〜凜にそんな能力があったか・・・」
「・・・凜はティーチに対して恐怖心や嫌悪感があると気付いてはいたが・・・ここまでとはねぃ・・・」
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紗良咲(プロフ) - 星猫さん» 初めましてコメントありがとうございます。そう言って頂けると本当に嬉しいです!!高評価もありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします! (2021年10月13日 22時) (レス) id: 1086401827 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年10月13日 21時) (レス) @page3 id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗良咲 | 作成日時:2021年10月12日 23時