国見ちゃんと、間違い電話 . 3 r d

もしもーし。74 ページ24

「A、記憶喪失なの?」



「えっと、はい?」



そっか、記憶喪失、になるんだね。



「敬語やめて、英って呼んで」



英?



国見、英?




「え、あ、うん…」



「俺のこと、何も覚えてない?」



あれ、このパターン、徹と一緒…



「俺、Aの彼氏だったんだけど」




え、待て待て待て待て。



私まさかの二股かけてたの!?




そんなことしないよね!?私!!




「徹にも言われたんだけど…」



「徹?及川さんのこと徹って呼んでたっけ」



「え、いや呼んでって言われて…」




お願い記憶戻ってほしい。



いろいろと聞きたいことが多いんですけど!?




「ねぇ、国見ちゃん」




しばらく黙って聞いていた徹が喋り出した。




「そんな、彼氏でも覚えてもらえてないって……そんなに愛されてなかったんじゃないの?」



「……、及川さんに何がわかるんですか」



愛情?そんなものしかないって?



しかも徹も彼氏だったんなら、私覚えてないんだけど?




「……ちょっと、頭冷やしてきます」



国……英は、そう言い病室を出ていった。




「俺も、なんか飲み物でも買ってくるねー」



「あ、うん…」




……一瞬、修羅場、だった。気がする。

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