ガラスの人形（緑）

マリオネットの罠 ページ22

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安田side







＿＿＿＿＿ピンポーン





乾いた音が鳴り渡った。

玄関扉から顔を出した丸は
いつも通りの笑顔を顔に貼り付けている。






安「丸〜、久々やなぁ」

丸「せやなぁ」

安「大学に来ぉへんから寂しかったんやで？」






そう。今日、丸の家を訪ねたのは、休んでいた分の講義プリントを届けるため。



丸が大学に来なくなって2週間

その間、何してたんやろ



背の高い丸を見上げながら考えていると、スっと手が伸びてきて僕の頭を撫でた。






安田「・・・ッ、」






その手の冷たさに
思わずビクッと体が反応した。






丸「部屋の中、入り」






丸の背に広がる部屋は、空気が妙に冷たい。

もうすぐ、夏やのに。





安「お邪魔します・・・」





リビングに入ると
美しい女性が座っていた。






安「あ、お客さんおるん？」

丸「ちゃうで。僕の人形」

安「この子・・ほんまに人形？」

丸「僕の可愛い“ガラスの人形”」






恍惚とした表情でそう、答える。

丸は僕を見ているようで、見ていない。






丸「せや、章ちゃんお茶飲んでき？」

安「・・ありがとうなぁ。僕も手伝うわ」

丸「ええって。お客さんは座っててください」






丸がお茶の準備をしてくれている間
1人で大人しく待つ。

あ、1人やないか。

あの子、人形やけど何だか生きてるみたい。





「あの」





儚げな声が聞こえた。

その声の主は、あの人形。





安「え、君・・」

「お願い・・私をここから連れ出して？」





潤んだ瞳に呑まれる。

そうか。
彼女は人を魅了し操る“ガラスの人形”なんや。









−END−

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