竜胆が拗ねた【灰谷竜胆】

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「男って女に誘惑されたら、どんな女でも抱いちゃうの。ま、ブスは論外だけど。だから俺のしたことも、しょうがないことなんだって」

「・・最低。このクソ男が。あなたと話していても時間の無駄」





嫌悪感を顕にした目を元彼に向けて
この場を去ろうとすると
元彼の表情が変わった。





「・・調子に乗んな淫乱女」

「・・・ッ」





強い力で私の腕を掴み、自分と向き合わせた。

ってか、コイツの力強すぎたろ。

痛ッ・・





「・・離して」

「あ？離して欲しい？・・ならヤらせろよ」

「・・・」

「オレ達さぁ、身体の相性すげぇ良かったよな。お前の身体、今でも忘れられねぇんだわ」





ニヤニヤしながら私の腰に触れる。そして服をめくり、細長い指で私のお腹あたりを触ってきた。

やめて、と言い胸板を押す。

私に触れる指がヒヤリと冷たくて身震いがした。





「チッ、殴られてぇの？・・なぁッ！」





その行為が気に入らないのか舌打ちをし、鋭い目付きて私を見た。

いつもそうだ。自分の思い通りにならないと、すぐに機嫌が悪くなる。

元彼の剥き出しの感情に、“怖い”と身体が震える。





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もうダメだ。そう思った時、筋肉質な腕が私の腰を引き寄せて後ろから抱きしめてきた。

香水なのか柔軟剤なのかよく分からないが、竜胆の良い匂いに包まれる。


振り向こうとしたが
竜胆の大きな手が私の目元を覆い視界を遮る。





「オレの女に何か用？」





カチャリ、金属の硬い音がした。

なんの音だろう。





「・・ッ・・・何でもない、です」

「早く消えろ。ゴミが」





耳元で聞こえる低い声に驚き
ビクリと身体が反応した。

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