夜想曲第2番変ホ長調（赤）2章

丸山先生って ページ21

安田side









こんな僕やけど



少しでもAに覚えていて欲しくて



夢の世界でも現れるようにした。








夢の世界でAと会い



じーっと目を見つめると



澄んだ目をしていて



“僕”が居らんかった事に容易に気付いた。








夢の中で2回目にAに会った時も



真っ直ぐな目をしていて



“僕”が居らん事を痛感させられた。








いつしか悲しみが憎しみへと変わり



以前、Aがいじめっ子にした様に



僕もAを傷付けてやろう。



そう思いナイフをぎゅっと握りしめる。



やって、それが僕なんやから。








あと少しで傷付けられる



あと1振りで__________









大倉「ヤス」









そんな時、いつも僕を引き戻すのが大倉。



腕を掴み夢の世界から



現実の世界へと連れ戻す。









次の日。



目が覚めると僕と同部屋の大倉は



とっくに起きていて



制服へと着替えとった。









大倉「ヤス、おはよ」



安田「…おはよ」









ニコッと微笑む大倉に



ずっと胸の中に留まっていた疑問を



意を決して聞いてみる事にした。









安田「なぁ、大倉？」



大倉「ん？」



安田「大倉も僕を否定するん？」









じっと大倉の澄んだ瞳を見つめると



ゆらゆと瞳が揺れる。









大倉「…ヤスは変わろうとしてんねんで」



安田「え？」



大倉「Aの一部なんやから」



安田「…」



大倉「Aが憎しみの感情を違う感情へと変えとる」



安田「そしたら、僕は消えてまうやん」



丸山「消えへん」








　
ビシッと黒色のスーツを着て



突然、僕等の使っている部屋へと



入ってきた丸山先生。









丸山「僕がそんな事させへん」



安田「…」



丸山「大丈夫やから」









柔らかく微笑み



しゃがんで僕の頭を撫でる。



丸山先生の大丈夫と言う言葉に



何故か安心している自分が居った。



不思議な人やな。丸山先生って。

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