夜想曲第2番変ホ長調（赤）2章

外の世界 ページ19

安田side









丸山先生が僕を呼び出したのは放課後。



目を開けると視界に飛び込んできたのは



夕日で茜色に染まった誰も居らん教室。








僕は、この高校の制服を着て



窓際の一番前の席に座っとった。



不意に気配がし隣の席を見ると



何故か大倉が澄ました顔して座っとっる。









安田「大倉？」



大倉「ヤス、おはよ」



安田「え、何で居るん？」



大倉「ヤスが外の世界へ行くなら俺一人ぼっちになってまうやん」



安田「…」



大倉「そんなん寂しいから着いてきた」








顔をクシャクシャにさせて



ニコッと笑う大倉。








丸山「おはよ」








話し掛けてきたのは



僕等の席の前に立っていた丸山先生。









丸山「どう？外の世界は」



大倉「んー、どうやろ？」



安田「…醜い所やな」









ポツリと僕の言った言葉で



重たい空気が立ち込む。



そんな空気を変えるように



ポンと手を叩き話し出す丸山先生。









丸山「とりあえず、住む所なんやけど俺の家でええ？」



大倉「丸山先生、カレー作れる？」



丸山「もちろん」



大倉「なら行く♡」



丸山「ヤスは？」



安田「大倉がええなら」









丸山先生は一人暮らしやから



人数が多くなると賑やかで



楽しくなりそうやなと言い



僕等を見渡す。








こんな人も居るんやな。



えくぼを作って微笑む丸山先生を見ながら



そんな事を思っとった。

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