30センチの距離 (ページ8)

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「ふーん…じゃあさー、Aは好きな人はおるん？」

「好きな人…あんまりそういうの考えたことないです。」

「そうなんや、モテそうやのになぁ。」

モテる？？わたしが？？

「いやいやいや、そんな訳ないです！
そういう須貝さんこそ彼女とか好きな人、いないんですか？」

今度は逆に私が聞いてみた。

「俺も今はないなー、研究とクイズノックで手一杯やし。」

確かに。須貝さんはかなり多忙だろうしそんな余裕ないんだろうな。

「須貝さんお忙しいですもんね。でもムリは禁物ですよ？研究忙しかったら業務の負担は減らすので言ってくださいね？」

「ありがとう、Aは優しいな。」

須貝さんがそう答えたタイミングで飲み物が運ばれてきたので、恋愛の話題はそこで終わった。

「Aは休みの日って何してるん？」

「休みの日…本を読んだりですかねー、記事になるネタを探してる感じです。」

「真面目か。」

「まぁ勉強が趣味みたいなもんなんで笑」

「勉強好きなんや、じゃあ物理は？」
須貝さんはいたずらな笑みを浮かべていた。

「うっ、痛いところを…物理は興味あるけど未知の世界で手が出しにくいというか…」

そう答えたところで目の前にいる須貝さんが物理専攻であることを思い出した。

「須貝さんが教えてくれるなら勉強したいです。」

冗談のつもりでそういうと

「おっ、ほんなら東大院生のおれが直々に教えたるわ。任せて。」

そういってナイスガイポーズを決めて笑っていた。

「楽しみにしてます。」