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シルクside
カートを強く握り目もきつく閉じ、
足に力を入れる
っ頼む____!
柱に突っ込んでいく
…衝撃は、
…無い…!
シ「間に、あっ…た…」
息切れと安堵で
途切れ途切れになった言葉を発する
しばらくカートに顔を伏せていたが
息がしやすくなった時に、顔を上げて
初めて柱の向こう側を見た
シ「!」
蒸気機関車…!
日本で見たことのないような圧がそこにあった
シ「やべぇ…」
俺、ここにいていいのか?
新幹線にも乗ったことの無いような庶民だぞ
弁当を忘れた時に買うパンは必ず
黄色か赤の割引シールが貼ってあるやつしか
買ってないんだぞ…俺は
どうしよう
…え?乗る?
いや、乗らないといけないけれども
乗ったら庶民は100万出せとかないよな
怖!
「こら!何突っ立ってんだよ、はよ乗れー」
機関車の運転手らしき人が運転席の窓から
身を乗り出して流暢な英語で俺を促す
俺は1度口に溜まった唾を飲み込み、前を向いた
〜〜〜
シ「…」
…どうしよか
暇だ
あれ、飛行機で俺何してたっけ
…吐き気で何するとか考えてなかったんだっけ…
シ「…」
電車酔いは、しないんだよなー
飛行機では迷惑だった吐き気が今は欲しい
…うわ暇すぎて変なこと考えちゃった
ゆりかごのように揺れる部屋
この列車の座席は2人がけの椅子が向かい合いで
置いてあり、俺から右には開閉可能な窓
左には扉があった
どちらもガラスでできている
手がかけられるところには丸みを帯びた木材でできていた
ソファーはヨーロッパの貴族を想起させる
肌触りのいい、赤色だった
外を見ると綺麗に晴れていて
青の空に雲の白がよく映えている
そして見る限り、草原
風でなびいて絨毯のように柔らかそうだった
昨日雨でも降ったのだろうか、
草に着いた雫が光り、一面キラキラしている
こうして見ると日本とそんなに変わらないなぁ…
少し開けた窓から入ったそよ風が頬をくすぐる
シ「…気持ちー…」
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作者名:onon | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/967b7fcd0b3/
作成日時:2020年6月1日 20時