５ ページ5
オールをした私。無論、あくびは出るし眠気はあるしで最悪。
自業自得？そうとも言えるな。
「もう今日は授業中寝よう……」
学校へ向かう途中でそう決めて歩き始める。
「……鈴休み？」
誰かに問いかければ
「えっ、ああう、うん！風浜さんは休みだよ！」
なんて落ち着かない言葉が返ってくる。
あ、風浜って鈴の事ね。
「くっそ、お昼食べる相手がいない……」
ボッチだと？今まで鈴としか仲良くしてなかったからだよ！大体みんなグループ出来てるし。
「うぅん、どうしたものか……とりあえず寝よう」
眠気には勝てない。私は寝る。
「春風さん、」
「は、い……何ですか…」
「鬱くんが呼んでるよ」
「ふぁい……ありがとうございます…」
気付いたらお昼どき。よく先生起こさなかったな。全部寝てたんだぞ私。
「はよございます……なんですか用事って…」
「お昼やろ？お昼ご飯一緒に食べん？」
「鈴いないし……いいですよ」
何でだろう、愛想良くできない。
他の人だったらもっと笑顔で言えるのに、もっと嬉しそうに言えるのに。
鬱くんの前だと笑顔なんかできないし嬉しそうにも言えない。でも、嫌ってなんかない。
「ほんなら、ついてきて！」
満面の笑みで言われて腕を引かれる。
「ちょ、ちょっと！危ない…ｯ」
「わぁぁぁ……！」
連れてこられたのは屋上。普段は使用禁止なのだが鬱くんの友人が生徒会長らしい。で、鬱くんも生徒会役員だからとかなんとか。
「すごいやろ？ここ、生徒会役員しか入れへんねん、やから春風ちゃんは特別」
ふわっとした笑顔と特別という言葉。
普段ならこんなこと言われてもなんとも思わないのに今だけ、ほんの少し胸が高鳴った。
「特別……ありがとうございます！鬱くん！」
「ｯ……ええよ〜敬語抜いたら？」
「あー、じゃあ、そうする……
午後の授業サボりたいなぁ……」
「お、ええやん。午後って文化祭近いし自由時間やんな？よし！今日はここにいよう！」
「やった！ここって風来て涼しいね」
「そうだね、また来る？」
「そうしたいな」
「ええよ、そうだ。今度みんな紹介するな」
「りょーかい、お昼食べよ」
久しぶりに鈴がいなくても楽しく過ごせた気がするな。
鈴ってちょっと体弱いからよく学校休んでるしね。
涼しい夏の風を浴びながら午後の授業を受けずに雑談して過ごした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：凪沙 | 作成日時：2018年7月24日 13時
