【歌い手】また明日、泣きに来よう (ページ18)

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～風邪っぴき～ページ18

現在、10時半。もちろん、午前だ。
いくら引きこもりのまふくんでもさすがに起きて欲しいものだ。

彼の寝室へ向かい声をかける。
返事はない。

「入ってもいい？」

「……」

無言は肯定とみなす。
私たちの間ではその約束事があるため開ける。

「えぇ……」

布団にくるまっているまふくんがいた。

「ま、まふくん……？」

ベッドのそばにいき、声をかける。

「A……頭いたぃ……たすけて……」

風邪なんですか……

「わかった。熱計った？」

そう聞くと布団の中から手を伸ばし側にあった体温計を掴んだ。

「あ、測ったの。……38.6て……」

高熱にもほどがある。
とりあえず、冷えピタを用意して食べられるものと飲み物も渡さなくては。
それから、朝ごはんは冷蔵庫に入れて……

頭の中でこれからすることを考えて、立ち上がろうとした。

「うわ……？！」

袖をギュッとされ体勢を崩す。

「セーフ……。まふくん？どーしたの？」

出来るだけ優しい声で問い掛ける。

「行かないで……。A、そばにいて……」

毛布から顔だけ覗かせる。
赤く染まった顔、潤んだ瞳、顔だけ覗かせるというあざとさ、掴まれた手から伝わる熱さ。

「ゔっ……まふくん、すぐに戻ってくるから。
ここにいたままだとまふくんが辛いんだよ？」

「……じゃぁ、すぐに帰ってきてね？3秒だよ」

じっと私を見つめて、上目で見てくる。

「うん大丈夫任せて」

3秒とまでは行かないが1分以内で戻ってこれた。
冷えピタを貼ってと色々して、一段落着いたら声をかけられた。

「A、ちゃん……？手ぇ、ギューしてて……？」

「えっ」

「だめ……？」

「ううん全然そんなことないよ大丈夫」

言ったように手を繋いでポンポン、と優しく叩いていた。
しばらくしたら、すやすやと心地よさそうに寝ているまふくんが目に入った。

「おやすみなさい」

肩が出ていたから布団をしっかりかけて頭を撫でた。
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