○11 ページ11
あなたside
丸「…ほな、また明日。
ちゃんとご飯食べて、休むんやで？」
「……はい、ありがとうございます…」
丸山さんは名残惜しそうにしながらも
車に乗って帰って行った。
鍵を開けて家の中に入ると
当たり前だけど誰もいない。
パチッとリビングの明かりをつけると
いつもケージの中で
嬉しそうに尻尾ってるまるの姿も当然、ない。
「っ、…まる……(涙)」
リビングの床に落ちてるおもちゃ。
まるのお気に入りだった。
台所にはまるの好きなおやつが
たくさんストックしてある。
あれだけ泣いたのに…
まだ涙は尽きないらしい。
そっと床に棺をおろして、蓋を開ける。
金属は一緒に入れれないけど…
好きだったおやつとか、布製のものなら
一緒に入れてあげていいって言われたから…
「…このボールで、たくさん遊んだね…(泣)」
家の中だけじゃなく、
公園やドッグラン、海でも…
「っ、これ…ボロボロじゃん…っ…(泣)」
何故かまるが気に入って
離してくれなかった私のパーカー。
仕方ないからケージの中に入れて…
いつもこのパーカーの上で寝てたっけ…。
「…このおやつ、好きだったよね…(泣)」
こんなことになるなら…
ケチらないでもっとたくさん
食べさせてあげれば良かった…っ…。
「ごめんっ…ごめんね、まる…っ…(泣)」
まるの棺に一つ一つ入れながら
いろんなことを思い出して…。
「まる…っ…私といて、幸せだった…？
ｸﾞｽｯ…私はね、すっごく楽しかったよ…？(泣)」
小さい時に両親が離婚し
ずっと母子家庭で育ってきたけど、
中学生のときに母が癌で亡くなって。
それで祖父母に引き取られて…
おじいちゃんもおばあちゃんも
すごく可愛がってくれたけど、
高校生のときにおじいちゃんが他界。
その後を追うようにすぐおばあちゃんも…。
私が今住んでるのは
祖父母が残してくれたお家。
一軒家に一人で住んでる。
家族をみんな失って、
絶望に打ちひしがれてるときに
出会ったのがまるだった。
まるを飼ってからは
一人の寂しさも感じなくなって、
バイトでミスして落ち込んだときは
まるが励ましてくれたし、
休みの日はまると一緒に
あちこち出掛けることが何よりも楽しみで。
唯一の家族であり、一番の親友であり…
生活の中心がまるだった。
ねぇ、まる…
私に飼われて、まるは幸せだった…？
それだけ、教えてほしいよ…っ…(泣)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 244人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
∞ゆず丸∞(プロフ) - しゅしゅさん» 初めまして！お返事遅くなってごめんなさい💦お読みいただきありがとうございました！楽しんで?いただけたようで何よりです☺️ぜひこれからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします！ (2022年1月9日 21時) (
レス) id: cde0bd3d9b (このIDを非表示/違反報告)
∞ゆず丸∞(プロフ) - 莉虹(元 結愛)さん» お返事遅くなってごめんなさい💦お読みいただきありがとうございました！文章が分かりやすい、読みやすいと言っていただけて嬉しいです☺️これからもよろしくお願いします！ (2022年1月9日 21時) (レス) id: cde0bd3d9b (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - はじめまして。ゆず丸さんの小説が大好きです。今回の作品は一気に読んだのですがずっと泣きっぱなし。電車で通勤途中に読んでいたら大変なことになってました(笑)これからも素敵なお話しを楽しみにしています。 (2022年1月3日 8時) (レス) id: 3ab24625f7 (このIDを非表示/違反報告)
莉虹(元 結愛)(プロフ) - シンプルにいって面白かったし感動しました！一気に全部読めたし、作者様の文章がわかりやすかった(?)読みやすかったです！これからも応援しています！ (2021年12月30日 23時) (レス) id: 96753055c2 (このIDを非表示/違反報告)
廉斗1126（錦戸亮依存症(プロフ) - ∞ゆず丸∞さん» はい！ (2021年12月30日 20時) (レス) id: 39f9ce47b8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：∞ゆず丸∞
| 作成日時：2021年11月26日 22時
