まだ、伝えてないの。【#コンパス】 (ページ3)

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まだ 3 ページ3

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「…どうして、そんなこと」

カラカラに乾いた唇では、ぽつりとそう呟くのが精一杯だった。

昨日は元気に、一緒にバトルアリーナとかフリーバトルとかに行ってくれたのに。

「サア、私ニハワカリカネマス。コレハ私デハナク上ノ判断ナノデ」

と、滑らかな動きで人間らしく肩を竦めるような動作をして見せる。

「そんな、そんなの、酷いじゃないか」

「仕方ナイノデス」

それでも食い下がるまといちゃんに、ボイちゃんはズバッとそう言い捨てた。

「上ニハ、幾ラ「管理人」ノ私トテ逆ラエマセン。諦メテクダサイ」

「感情」のない彼女らしくずばすばと切り捨てていく。

「……マルコスくんは、いつ削除されるの」

止めることが出来ないというのなら、せめて彼がいなくなる時を、いなくなる瞬間を、この目で見届けたい。彼に最後のメッセージを、リリカ自身から伝えたい。

「サテ……モウスグナノハ確カデスネ」

カピ、と言いながら彼女は壁に掛けてあるリリカの印刷してある時計を見上げる。

「一緒ニ来マスカ？ ……ツライノハ、アナタ達ダト思イマスガ」

そう言ってリリカ達を試すように目を細めてこちらを見る。

「行くよ……リリカは逃げない。まだ伝えられてないことがあるの」

伝えずに終わる訳には行かないの、と半ば吐き捨てるように言うと彼女はいつものセリフをリリカに投げて寄越した。

「……変ワッテマスネ。本当ニ、人間ハ無駄ガ好キデス」