まる、さんかく、しかく。-SJ-4

行かなきゃ。 ページ45

どうして。
せっかく、覚悟を決めたのに。


この場から逃げ出してしまいたいのに、大きな声を出したら、二人に迷惑がかかる、とこの後に及んでもそんなことを考えてしまい、私はそれ以上の抵抗ができなかった。



空港を出て、駐車場まで来て。
規則的に並んで止まっている車の間に私を引っ張り込むと、二人はようやく足を止め、私をぎゅうっと強く抱きすくめた。


「・・・馬鹿」


ヒョクの悲痛な声が、私の胸を痛い程に締め付ける。


「なんでだよ、」


ドンへはすでに涙声で、私の肩に顔をうずめ、小さく震えている。


「俺達が、俺が。お前の事が分かんない訳ないだろ」

絞り出すように語るヒョクの声が、私の心にじわじわと響いて。


「・・・どうして、」


どうして、行かせてくれなかったの。
二人を守るために、私ができる事は、これしかなかったのに。


こんな、ドラマみたいな引き止め方をされたら、奇跡を願ってしまうじゃない。

また、一緒にいたい、と。

そんな日々を願ってしまう。


ー行かなきゃ。


ぎゅっと身体を強張らせる私に気が付いているのか、二人はさらに腕に力を入れ、苦しい程に私を胸の中へと押し込めた。

幾つもの「ごめんね」→←馬鹿なのは誰？

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