まる、さんかく、しかく。-SJ-4

彼女の決断 ページ38

ーＬＴー

行くぞ、とものすごく不機嫌な顔でエンジンをかけるマネヒョンに、
車内の空気はピンと張り詰めていて。


いつもと違うAちゃんの様子を見たメンバーも、なんだかソワソワしているように見えた。


確かに、彼女の様子は少しおかしかったけれど、それは別れの日が明日に迫っているからだろう、と僕は一人で切ない気持ちを抱えていた。

あれから、何度も何度も考えたけれど、僕はまだ他のメンバーに彼女との別れを告げることはできていなかった。


彼女の決断に賛成し、協力している訳じゃない。

きっと、彼女がいなくなったら、メンバーは落ち込み、そして何も言わずに去って行った彼女を怒るだろう。


あの二人は、特に。
ドンへなんてもしかしたら、しばらく仕事なんてできない、と言い出すかもしれない。

とは言っても、僕達は悲しい別れがあった所で仕事を休むことなんて許されない。


きっと、嘆き悲しみながらも、僕達はその日の仕事をこなして。

そして、段々と悲しい気持ちも薄れていくんだろう。


そんな未来が簡単に想像できることが、また悲しかった。


二人だけには、告げておくべきかもしれない。

置いて行かれることがどんなに辛いのか、彼女は分かっていない。


きちんと別れを言えずに、消化し切れない悲しみを抱えたまま、人形のように襲いくる仕事をこなしていく日々の辛さを、きっと彼女は理解していない。


だからこそ、この決断をしたんだろう。


せめて、別れることになったとしても。
僕が二人の立場だったら、絶対に知らせて欲しい。


でも、彼女の気持ちを考えたら？

彼女は、一人で僕達を守るために去る決断をして。

辛く悲しい決断をさせたのは、結局のところは僕達のせいだ。


彼女の重く苦しい決断を、邪魔することはできない。


何度も何度も考えは堂々巡りをして。
結局、僕はまだ、二人に別れを伝えることも、かと言って彼女に協力することも。何もできずに別れの前日を迎えてしまった。

別れの日は、→←届かない「さよなら」

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