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してあげられること ページ35

Aちゃんは、自分が撮られることのリスクをきっと誰よりも理解している。


問題は、スタッフ、ということだけじゃない。


ー彼女の国籍。


日本人のスタッフを雇い、あまつさえ熱愛報道、ということになれば、
それはもう彼女とウネだけの問題ではなく、グループやひいては事務所全体の問題になることを、彼女は誰よりも理解していた。


彼女は自分が身を引くことで、ウネだけでなく、僕達全員をも守ろうとしていた。


「・・・本当に、それでいいの?」


意味を持たないその問いを、ぶつけずにはいられなかった。


「もう、決めたんです」


まっすぐに向けられた彼女の瞳は赤く染まり、目は腫れていて。

それでも、光を失ってはいなかった。


「後悔しない?」


苦し紛れに出たその質問に、彼女はふんわりと笑い、どこか遠くを見て何かを思い返すように言葉を紡いだ。


「こんなことになっても、この仕事をしなければよかった、とは思えないんです。きっと、いつかこうなる運命だった、と思うから・・・」


そう話す彼女の顔は、嘘や強がりを言っているようには見えなくて。


「・・・楽しかったです。本当に、幸せな時間でした」


ありがとうございました、と深々と頭を下げる彼女の覚悟に、僕はもう何も言えなかった。


この選択が、正しいとは思えない。

置いて行かれる弟達の気持ちを考えると、これから彼女がとる行動に賛成はできない。


でも、彼女の気持ちを考えると。


Aちゃんは、恨まれたり、失望されることも全部受け入れて、ただ一人悪者になってまで、僕達を守ろうとしてくれている。


そんな彼女に、これ以上反論することはできなかった。



「・・・いつ?」
「え?」


頭を下げる彼女に、最後の日はいつなのかを尋ねると、彼女は少しためらった後に、四日後です、と告げた。


「辞めたら、どうするの?」
「少し、日本でゆっくりしようかと思ってます」


この半年間、全然帰っていなかったから、と静かに話す彼女は、その後、詳しく問い詰める僕に、四日後の仕事が終わったらその足で日本へ帰る、とためらいがちに教えてくれた。


もう、悲しい決意をした彼女に僕がしてあげられることはなんにもなくて。

ただただ、四日後が来ない事を祈ることしか出来なかった。

大切な存在→←彼女の立場だったなら



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ななか - 突然すみません!最近読ませていただいてます!ついつい読見入っててしまいます!続きがとても気になります!更新楽しみにしてます! (2014年11月14日 10時) (レス) id: e31223459f (このIDを非表示/違反報告)
k(プロフ) - 更新ありがとうございます!!楽しみにしてます! (2014年10月25日 13時) (レス) id: 2c49601377 (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ - ずっと以前から読み続けています。毎回引き込まれています。更新が楽しみでいつも待っていました。長く続けて欲しい作品です。 (2014年10月25日 11時) (レス) id: ef41c44d6b (このIDを非表示/違反報告)
まんぼー(プロフ) - ウネの切ない感じが、白日夢の曲の感じにピッタリだわ~!と泣きながら読んでましたwが…やっぱりトゥギひょん!男前ですね!それでこそリーダーだわ!みんなが幸せになってくれたらいいなぁ…続きお待ちしてますね (2014年10月25日 2時) (レス) id: 05377478b6 (このIDを非表示/違反報告)
みなチキン(プロフ) - 更新楽しみにしてますpq (2014年10月4日 8時) (レス) id: 335d4b0d2c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くまこ | 作成日時:2013年8月5日 23時

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