まる、さんかく、しかく。-SJ-4

取れる手段は一つだけ ページ29

「お願いします」
「いや、でもあいつらが何て言うか・・・」
「次の日からは、全て話してもらっても構いません。でも、それまでは・・・」


私がしたお願い。

それは、メンバーには何も言わずに彼らの元を去ること。


この半年間の、色々な思い出が頭をよぎる。


突然入って来た、臨時のトレーナー。

トレーナーとしてはまだまだ新米の私に、彼らは身体を預け、信頼を寄せてくれた。


そんな優しい人達を、私はもうすぐ裏切ることになる。


その事実にまた胃がキリキリと痛んだが、何度考えても、私がとれる手段はユンジさんに従うことしかなかった。


もしかしたら、彼女の脅しがなくても、私はこの道を選んだかもしれない。




ただの友達に戻るために、ヒョクをウニョクと呼び、彼から距離をとろうとした。

けれど、今となっては、ただ悪戯に彼を傷付ける形になってしまった。


そして、それだけではなくて。

私は、彼の気持ちを知らなかったとはいえ、結果的にはドンへをも傷付けて。



彼らと、もう友達でいられる訳がない。


その思いが、私を悲しい判断へと突き動かしていた。


マネージャーさんとの綿密な打ち合わせを終え、部屋の外へと足を踏み出すと、目の前にいた人物に私は言葉を失った。

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